Guido Rispoli(グイードリスポーリ)氏のカード

Guido Rispoli(グイードリスポーリ)氏のカード
Guido Rispoli(グイードリスポーリ)氏のカード

そう多くはないけれど、年に何度かはグリーティングカードを送ることがあります。
それなりに齢を重ねた大人なので、年齢に見合ったデザインのもの、送られた相手が喜んでくれるもの、そして上質なものという基準で選ぶと、意外なほど候補がなくなってしまいます。
あんなにたくさんのカードが売られているのにその多くは可愛いもので、大人が使えるものが少ないと思っていました。
そういったカード事情も理解していましたので、パッサールの岩田さんと阿曽さんからこのカードのお話をうかがった時、ぜひ扱わせていただきたいと思いました。
自分が欲しいと思ったし、上質で他所では手に入らないものを求めておられる当店のお客様にも喜んでいただけると思いました。

ローマの北東、アブレッツォ州ラクイラにスタジオを構えるグラフィックデザイナーのグイード・リスポーリ氏がデザインした繊細なレーザーワークを駆使して作られたカードは、質感のある美しい色のイタリアの紙を使い、イタリアで製作することにこだわっています。
記念日やお祝いなどの時にプレゼントと一緒にお渡ししてもいいし、写真などを挟んだり、額に入れて飾ってインテリアとして楽しんでいただくこともできるクオリティの高いものだと思っています。
小規模の工房で製作しているため大量に作ることができず、あまり多く流通していないところも私としては嬉しかった。だからこそ日本で最初に当店がこのカードを扱うことができました。

グイード・リスポーリ氏の友人であり、当店のお客様である岩田朋之さんから3月にこのカードを紹介していただいてから、この日を待ち焦がれていました。
アウロラ、モンテグラッパ、ビスコンティなど、イタリア製の万年筆を気に入って扱ってきて、常にイタリアについて考えていました。それらから見るイタリアは憧れの国でしたが、どこかリアリティを感じさせない光の部分しか見えていない存在でした。
でもグイード・リスポーリ氏のことを知って彼を取り巻く環境などをリアルに伺っていると、陰の部分も少し見えてイタリアが身近に感じられるような気がしました。
彼のカードもイタリアの万年筆に負けないくらいに美しさ、華やかさを持っていますが、私がそこに現実味を感じたのは、グイード・リスポーリ氏のパーソナルな部分を知ったからでした。
氏はスイーツメゾン、レストラン、ブライダルホール、ホテルなどのアートディレクターを務め、パッケージや広告、メニュー、グリーティングカードのデザインを手掛けたり、展示会や店舗の空間設計にも携わるグラフィックデザイナーで、ヨーロッパ、中東にクライアントを抱えて、華々しく活動しています。
しかし、彼の前半生はそれとは対照的なものでした。

高校を卒業した彼は、警察官になり南部カラブリア州に赴任しました。
イタリア南部カラブリア州はシチリア島の対岸にある州で、マフィアによる犯罪の多い所でした。
マフィアによる警察官の買収は日常茶飯事でしたが、彼もそんな渦に巻き込まれ、警察官としての職を失ってしまいました。
その後の職業訓練でグラフィックデザインの教育を受け、彼の才能を見抜いた教官が彼がプロのデザイナーになれるように指導したのです。
教官は彼をあえてカラブリア州から遠く離れた州のデザインスタジオに就職させて、彼はそのスタジオで十数年務めた後、2006年に独立しました。

定年後の生活が保障されているという理由で、職の少ない南部では公務員は人気の職業ですが、それについて回るイタリア中で行われている汚職が発覚して、失職したことで彼の第2の人生の扉が開きました。
それは彼の前向きな努力によるものだと思います。

挫折したときに人生を諦めてしまう人も多いと思いますが、人生の第二の扉を開いた彼の心意気のようなものが、作品から伝わって来るような気がするのです。
彼の作品は、彼が巻き込まれたイタリアの闇を全く感じさせない、愛情と慈愛に溢れたお守りのようなものにも思われます。

⇒Guido Rispoli(グイード・リスポーリ)レーザーワークカード

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