趣味の道具か、実用か2・ペリカンM805オーシャンスワール

趣味の道具か、実用か2・ペリカンM805オーシャンスワール
趣味の道具か、実用か2・ペリカンM805オーシャンスワール

当店は実用で万年筆を使う人の店であり、万年筆を趣味のモノだとする人たちの店ではないと思ってきました。
趣味のモノというと、休日にそれを触ることを楽しんだり、ただ眺めて楽しむ喜びを提供してくれるような言葉の響きがあって、当店の顧客像と隔たりがあるように思えたからでした。
お客様方が当店に求めに来られるのは、楽しむための万年筆ではなく戦いの道具としての万年筆で、それを求める心と、趣味というオフタイムを連想させる言葉とは違っています。
しかし、戦いの道具というのなら、ものすごくよく書けたらそれでその目的に適っているような気がするけれど、でもそれだけでもない。
当店に来られるお客様方の中には、書く道具に対する不満から万年筆を手にしたけれど、それにも不満を抱いて、もっと書きやすい万年筆を手に入れたいと思っている方も多く、実用的に十分書くことができて、そこに楽しみもあるものを皆様は求めている。
それは広い意味で趣味の道具ということになるのかもしれないと思うようになりました。

私もただよく書ける万年筆だけをお勧めしたいわけではなく、自分の美意識や生き方を表現してくれるものを手に入れてもらいたいと漠然と思っていたけれど、この店が始まって10年経った今、確信しました。
書くものに対しての不満も解消してくれる、実用性も備えていて、楽しめる要素があって、自分の美意識や生き方を表現してくれるもの。
最後の項目は人それぞれ違うものだと思うけれど、そんな万年筆を買ってもらいたいと思うと、扱えるものがかなり限られてしまうかもしれませんが、当店はそれを貫いていきたいと思っています。

当店の限られた品揃えの中心にペリカンM800はあって、これは不動の、当店の定番中の定番だと思っています。
ペリカンM800は理想的なバランスを持つ万年筆の中の万年筆で、最もスタンダードな、万年筆の基準となるものだと思っています。
この万年筆よりも大きければオーバーサイズ、小さければコンパクトな万年筆と判断できる目安のような存在です。
万年筆で書くことの醍醐味である「ペンの重みに任せて力を抜いて書く」書き方は、M800で覚えることができるので、初めて万年筆を使う人にでも、予算が合えばM800をお勧めしています。
それは万年筆を使い慣れたとしてもM800を使わなくなることはない、生涯使い続けることができる万年筆でもあるからです。

このM800でも楽しめる要素は十分あるものだけど、さらに見て楽しむ要素を持ち合わせた限定万年筆M805オーシャンスワールが発売になりました。
M805オーシャンスワールは、海の渦を表現した青みの強い深緑に無数の細かい粒が光線の具合でキラキラと輝く、大変美しく奥行きのあるボディです。
私にはこれは花梨など自然の木のこぶ杢をイメージします。

このオーシャンスワールのボディの中に、どんな景色を見るかは人それぞれかもしれませんが、実用に不満なく使うことができて、見て楽しいめるもの。
当店がお勧めしたい要件を完璧に備えた万年筆のひとつだと思います。

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⇒2010.10.29「趣味の道具か、実用か 1・ペリカンM800ブルー・オ・ブルー」

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