手を動かして仕事する人のためのペン〜クレオスクリベントリネアルト〜

手を動かして仕事する人のためのペン〜クレオスクリベントリネアルト〜
手を動かして仕事する人のためのペン〜クレオスクリベントリネアルト〜

ヨーロッパの高級ステーショナリーの顧客として、貴族は重要な存在なのだと思います。貴族たちの存在がステーショナリーの発展を支え、文化を担ってきたのだと考えると当然でもありますが。
そんな人たちにとって万年筆は実用品として完璧であるだけでなく、宝飾品、ステイタスとしての役割もあるのではないかと思います。
でもそれは私たちにとっての万年筆とは少しずつ違う。上手く言えないけれど、パリッとし過ぎていると思うことがあります。

私たちが、万年筆にステイタスを求めなくなっていることも貴族的な万年筆から距離を置くようになっている理由かもしれません。自分が使っている万年筆のブランド名などは、万年筆に詳しくない人が見てもわからない方がいいとさえ思います。
ヨーロッパで作られている万年筆の多くはもともと貴族たちのためのもので、なんとなく反発心のようなものを覚えていました。
私たちには国から与えられた身分もないし、自分の体を動かして稼ぐしかない。
自分たちのような一般の人間に向けて作られた物に目を向けたいと、最近は思うようになりました。
ウォール・エバーシャープはアメリカという貴族的ではない国で生まれたメーカーです。自分の才覚で電算機会社を興したウォール氏が作った万年筆メーカーだということも、当店で扱いたいと思った理由のひとつだし、同じ理由でクレオスクリベントにも肩入れしています。

クレオスクリベントは終戦後作られた会社ですが、すぐに国がある共産主義になってしまい、政府に接収されて国営企業になったという不幸な歴史があります。でも、だからこそ1950年代の万年筆大不況時代を乗り越えることができたという面もあります。
東ドイツ崩壊後、国営企業でなくなってからも高い技術力で多くの会社のOEMを手がけて、世界に埋もれることなく生き続けている。
クレオスクリベントには、自分たちの道で生きている私たち中小企業の夢を感じています。

OEMばかりやっていて、自身のブランドは非常に寡作なクレオスクリベントの新作をご紹介します。
総スターリングシルバーボディの「リネアアルト」です。
ずっしりと重みがあり、どこか武骨なデザインですが、この独特のデザインもクレオスクリベントの持ち味だと私は思っています。
その大きさからは想像できない柔らかい書き味の上質なペン先が付いていて、書くことを楽しむことができます。
書くこと、万年筆を触っていることを趣味とする私たちが、遠いドイツの片田舎に想いを馳せながら、使ってサマになる趣味の道具のひとつだと、クレオスクリベントについて思います。

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⇒2016.4.22「クレオ・スクリベントの万年筆 ~流行に流されないモノ作り~」

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