万年筆銘木軸「こしらえ」

万年筆銘木軸「こしらえ」
万年筆銘木軸「こしらえ」

もし本当にそうだったとしたら私は何度も斬られているかもしれないけれど・・・万年筆は私たちにとって、刀であって欲しいと真剣に思っています。
少なくとも私にとっては自分の精神を象徴するものであり、生活していくためのものであり、長く携えるものだと思っています。

万年筆を刀だと考えると、ペン先は一番大事な刀身で、それが貧弱なものだと長く使うのに値しないかもしれない。
とても書きやすいと思えて、自分の想いを気持ち良く紙に伝えてくれるペン先に出会うことができればそんな幸せなことはないし、それを持っていればそれは宝物だと思います。

パイロットの2万円クラスの万年筆のペン先は実用において完璧で宝物になり得るものだと思っています。
実用範囲内を逸脱することのない柔軟性と良い書き味を永続的に保つ硬いペンポイント。
充分なインク出を保つ、精密な設計と耐久性を持つペン芯。
そんなペン先=刀身は、それに見合った気持ちにさせるボディ=拵(こしらえ)に収めたいと思います。
パイロットカスタムヘリテイジ912やカスタム742の純正のボディは、バランスや握りやすさも考慮されていて実用には充分足りるものですが、そのペン先の性能から考えると若干味わいに欠け、アンバランスに感じてしまいます。
そういった当店の意向から工房楔の永田氏がそのペン先に見合った拵=ボディを当店オリジナルとして作ってくれました。

使われる素材はその時々にある最高のコンディションのものを使っていきたいと思っていますのでどんどん変わっていきますが、初回としてブラックウッド、ケンポナシ、チューリップウッド、マースルバーチで作ってみました。
ケンポナシは工房楔も初めて筆記具に使う材ですが、伝統工芸の指物では古くから使われる素材で、使い込むと飴色に変化するエージングを楽しむことができます。日本の木ということも拵の演出に合っている。

日本の木はあまり派手な木目を持たないので、工房楔の永田さんは余程のものでない限り使いませんが、ケンポナシのこの個体は杢が出ていて、かなりの良材だということで今回採用することになりました。
チューリップウッドも油分を多く含むのか、使い込むとピカピカの艶を持つようになりますし、滑らかな木肌が美しく、手触りが気持ちいいブラックウッドも同様です。
マースルバーチもエージングが期待できる明るい色目の木で、複雑な模様が個性的で見ているだけで飽きません。

個人的にはアウロラオプティマと88のペン先が同じなので、好みが変わったり、気分によって付け替えて楽しんでいました。
それと同じようにパイロットのペン先を使い込んでボディだけを変えていくことができればいいと思いました。
皆様も大切な刀身に見合った拵に付け替えてみてはいかがでしょうか。

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