万年筆の書き味・2

万年筆の書き味・2
万年筆の書き味・2

常々申し上げていますが、この20年程で万年筆において一番変わったことは、売れ筋の字幅の変化です。Mが売れ筋だったのが、今では国産ならF、ドイツ製ならEFで、それでもまだ太いと言われるようになりました。
手帳を書くことを趣味とする人が増えて、こだわりをもった筆記具である万年筆で手帳を書く人が多くなった事など、色々な事と繋がりがあるのだと思います。
そういった時代の需要から始めた、ペリカンM400を国産細字くらいに研ぎ出す「細字研ぎ出し加工」は、手帳を書くたくさんの人に愛用されています。

しかし、万年筆の楽しみはそれだけではなくて、ペンポイントが紙に接触しているのか、いないのか分からないほど抵抗のないヌルヌルした書き味でありながら、自在にペンポイントからインクが出てくれるもの。これが万年筆の書き味、使用感の醍醐味のひとつで、私はいつもこれを味わいたくて万年筆を使います。そして、自分が持っている万年筆全てがこうあってほしいと思います。
万年筆の書き味は字幅が太くなればなるほど良くなります。
それは紙に当たる面が大きくなればなるほど抵抗感が小さくなることに関係があります。
しかし、太くなればなるほど、ちゃんとインクが出るように紙とペンポイントを合わせて書く必要があり、多少の慣れが要るのかもしれません。

何年も万年筆を使われている方はそういったことはご存知だと思うし、意識せずにそうやって書けるようになっているものです。
でも私はズボラで、紙とペンポイントをピタリと合わせて書くような努力もしたくない。
何も考えずに、ただ気持ちのいい書き味を味わいながら、ノートや原稿用紙に書いていたいと思ってしまいますし、それが万年筆を使うことの喜びをより大きくしてくれるはず。

そういう場合にお勧めしている最適な字幅はペリカンM800ならF、イタリア製や国産ならMくらいだと思っています。
細すぎず、ヌルヌルした書き味も味わえながら、でも角度やペン先の向きをそれほど気にせずに書くことができる太さ。
細字が多く使われるようになっている今の時代ですが、太いペンの書き味の良さ、万年筆の醍醐味もたくさんの人に知ってもらいたいと思っています。

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⇒2011.6.17「万年筆の書き味・1」

*前の記事「新しいものを出し続ける工房楔」