ペリカンM450 伝わりにくかった上質

ペリカンM450 伝わりにくかった上質
ペリカンM450 伝わりにくかった上質

毎年日本輸入筆記具協会という団体が発行しているPENカタログというものがあります。
そのカタログはメーカーの枠を超えて、日本に正規輸入されている高級筆記具が多数掲載されている販売店備え用のカタログです。

私たち筆記具の販売員は、日に何度もこのカタログを開いて、調べたり、確認したりする、この仕事においてなくてはならないものです。
万年筆を知ったばかりの時は毎日飽きずにこのカタログを眺めて、色々な事を勉強してペンを販売する基礎知識を身につけました。

毎年、12月に来年のPENカタログが店に届き、すぐに目を通します。
良い新製品が出ていないか、そしてカタログから消えたペンがないかどうかを知るためです。
今年もそうやってチェックしていて、一番ショックを受けたのは、ペリカンM450がカタログから消えていたことでした。

M450は過去のモデルの復刻ということもあり、現代的になり始めているペリカン社のラインナップの中で、トレドなどと並ぶ異色の存在の万年筆です。
スターリングシルバーに金張りのバーメイルのキャップにタートル柄のボディが外観上の特徴です。

バーメイルは、90年代までは上級グレードの万年筆の素材としてよく使われていて、長年使うことで少しずつ変化して金の色が落ち着いて良い風合いになっていきます。そういうところに先人の知恵、ヨーロッパの工芸の奥行きを感じていましたが、最近のペンにはあまり使われなくなってしまいました。

私は、復刻版などのクラシックなデザインで現代の品質を持ったものがとても好きなので、M450も使っています。
使い始めた時、派手な金キャップへの抵抗が少しありましたが、徐々に良さが分かってきました。
この万年筆と出会えて良かったと思い、ぜひこの万年筆を多くの方々に使っていただきたいと思っていましたので、PENカタログから消えてしまったことはとても残念に思いました。

M450はカタログを見ているだけでは、M400と同じサイズで、キャップがゴールドでペン先が18金になっているだけで、値段が最も柔らかく大きなペン先を持つM1000と同じ値段ということしか分かりません。

世間であまり売れなかったのは、その良さが知られていなかったからなのだと思われますが、キャップが金属になって、ペン先が18金になるだけで、こんなに違うのかと思わせる特別なペン先のタッチを持っています。

万年筆の書き味の良さを表す時によく硬い、柔らかいで表現されることがありますが、そういった方向性とは違うベクトルの良さを感じるのが、M450の書き味です。
カタログでは絶対に分からない良さを持ったM450を知っていただいて、最高の状態で送り出したいと思っています。

使って分かる良さのある、とても渋い存在の万年筆がまたひとつ消えそうになっています。

⇒ペリカンM450 バーメイル・トータス