スタンダードを求めて~ペリカンM400~

スタンダードを求めて~ペリカンM400~
スタンダードを求めて~ペリカンM400~

服でも靴でも、まずスタンダードを押さえたいと私は思います。
時代が下がるとともに、その時代の求めに応じて変化し、細分化して、様々なものが生まれたのだということを把握して、その派生したものではなく、原型になったスタンダードともオリジナルとも言えるものを知りたいと思います。

どんなモノでも同じだと思うし、どこのお店や業界も同じ、常に新しいものを提案して、本流でないスタイルのものや、まだあまり知られていないものを顧客のレベルを考えずに提案する。
それが限定万年筆の乱発と言っていい現在の万年筆の業界の状態を作ってしまったのだと思います。
もちろんそのモノに精通して、一通りのものを所有している人には当然のことですが、そういう段階にない人には、まずスタンダードを示すべきだと思います。
スタンダードと言えるものには定番品ということ以外にも条件があって、まず歴史的な背景が必要だと思っています。
万年筆の中でひとつの流れを作ったオリジナルのものがスタンダードと言えるもので、その中で今回取り上げたいものが、ペリカンM400です。

万年筆をたくさん持っている「通」の人には見向きもされない超定番の万年筆ですが、これから万年筆を買いたいと思っている人には避けて通って欲しくないスタンダードだと思っています。
ペリカンM400が生まれた1950年、万年筆は全ての人の筆記具でした。
きっと皆手帳を万年筆で書き、手紙ももちろん仕事の書類も万年筆で書いていました。
そんな使われ方においてM400は、高級品であることには違いなかったと思うけれど、きっといつもポケットに差して持ち歩いて、すぐに取り出して使うような存在だったのではないかと思っています。
でも現代においての万年筆は、全ての人の筆記具、日常の筆記具ではなく、気付いた人のためだけの、より特別な筆記具になっていて、反論する人もいるだろうけれど、ステータスのような存在になっている。

そんな現代において、万年筆のペン先は大きくなり、大型化していきました。
ペリカンもそんな時代を読んで、1990年代にそれまでなかったM800を発売し、ペリカンの代表的なモデルとして、携帯性よりも机上での使用で最も書きやすいと思われるバランスをM800に与えています。
時代は大型の万年筆を求めたけれど、M400は万年筆が全ての人にとっての筆記具だった時代と変わらない姿で今の時代に存在し、万年筆を使う人のための筆記具として有り続けています。
私は万年筆は大は小を兼ねると思っていたけれど、M400を愛用する人の中にはきっと小は大を兼ねると信じていて、ポケットに入るM400だからいつも携帯することができて、様々な用途、その人の万年筆の全ての用途に使っておられる方もたくさんおられると思います。

セルロイドと透明のアクリルを重ねた板を作り、その断面をカットして、筒状に丸めてボディとする定番品としては異例に手間のかかる工程で、作り出されるスーベレーンシリーズの最も特長的な縞模様は、60年以上前にこのM400で世に出て今もそれを頑なに続けている。
ペリカンでは当たり前になっている、安定感のあるピストン吸入機構も今では特長的なスペックのひとつで、インクがたくさん入るという実用性とともに、メカニカルな面白みも感じてもらえる。

万年筆が日常に筆記具だった時代の姿を現代に見せてくれているM400は、まさに万年筆のスタンダードで、これから万年筆を揃えたいと思っている人が安心して買うことができるものだと思っています。

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