ブッテーロ革のペン置き

当店のことを、私が良いと思ったもののみを扱う万年筆・ステーショナリーのセレクトショップだと思われているかもしれないけれど、私は自分の狭い了見や偏った好みだけで、モノの良し悪しを決めてはいけないと思っています。
自分が良いと思わなくても売れるものはたくさんあるし、自分が見出せなかった良さを他の人が見出してくれることもよくあるからです。
こういうことを今までたくさん経験してきたので、商品について、特に取り扱いをするかどうかを自分の価値観だけで決めてはいけないと肝に銘じています。
あまりにも自分のポリシーから外れるものは別ですが。

最近私がその良さを見抜けなかった商品が、カンダミサコさんの「ブッテーロ革のペン置き」でした。
ブッテーロの革を2枚重ねにし、折り曲げて固定したとてもシンプルな仕様のものです。
あまりにもシンプルで、今までの職人仕事に対する固定観念がある私にはその良さが分からなかった。 でも販売し始めて、その良さに気付きました。

よくあるようなペントレーではなく、このくらいシンプルなものの方が今の人の感性に合っているのかもしれません。定位置を作って机の上に置いておいて使うのではなく、何か書き物をする時に取り出して使う、あるいは出先で使うような用途がこのペントレーには合っています。
本当に何が売れるか分からないと言うとカンダさんに怒られるかもしれない。

万年筆の固定観念に捉われていないし、今もフレッシュな感性を保ち続けているカンダミサコさんですが、安い革で作れば値段も安くできて売れやすくなるけれど、良いものにこだわっていて、革の質を落とすことはありません。
デザインやモノのあり方は変わっていくものなのかもしれないけれど、それは変わらないことだと思う。

安い革とそうでない革の違いについて述べるのはなかなか難しいですが、手触り、色味など、基本的な質感の高さが違います。
このペントレーもブッテーロの革を使用していて、その滑らかな手触り、使っていくうちに出てくる艶などの変化が楽しめるのはこの革ならではのものだと思います。
ブッテーロは植物由来のタンニンなめしをされた、自然な質感のある油分を多く含んだ革です。
ブラシや布で磨いたり、手で触れることで油分が表面に艶を作りますし、小さな傷なら磨くことで目立たなくすることができます。
そんな上質な革との付き合い方は変わらずに教えてくれるものでもあります。

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