東京出張販売後記

東京出張販売後記
東京出張販売後記

7月18日~20日の、東京での出張販売が終わりました。
首都圏はインターネットのお客様も多く、アフターサービスのためにも当店が行かなければいけない場所だと思っていました。
東京にはたくさんのお店があるし、お客様方も目が肥えているので、相手にされないのではないかと厳しい反応を予想しながら昨年から始めましたが、想定していたよりずっと多くのお客様が来て下さり、自分自身も楽しい出張販売になりました。

東京での出張販売の特長は、私たちが売りたいもの、新しいものが売れるということ。
普段伝えたいと思っていることがちゃんとお客様方に伝わっていて、それに鋭く反応して下さっているような手応えをいつも感じて、励まされます。それに、来て下さるお客様方は皆温かかった。
来年また新しいネタを用意して、同じ場所に行こうと思いました。
来年はオリンピック開会式の前の週、7月16日(木)~19日(日)にギャラリーを確保していて、この期間内3日間を予定しています。
出張販売の場所、代官山の駅の東側は、西側よりも落ち着いた大人っぽい場所だと思っています。
当店が元町駅西口という三宮、元町の喧騒から外れた場所にあって、お洒落度は違うけれど、その感じとよく似ています。
朝ホテルから出張販売に向う時や、一日が終ってどこか手近なところで晩飯を食べてホテルに帰ろうと歩き出す時の、静かな街の雰囲気も気に入っている。
神戸の当店の近くと違って、やる気に満ちた若いクリエーターたちが多く歩いていて、おじさんも頑張らなければいけないと、この街から受ける刺激も自分には必要だと思う。

借りているギャラリーは、コンクリートの壁に白い漆喰を塗っただけの飾り気のないものだけど、その装飾のない簡素な内装が自分の美意識に合っています。どうも豪華で華やかな場所は落ち着きませんので、自然体の当店を見せられる場所だと思っています。
今回は、中目黒の住宅街の中にあるホテルをとっていましたので、ギャラリーとの往復は歩ける距離でした。
お店はどこも閉まっているけれど、知らない街の雰囲気を楽しみながら30分弱の道は、ちょうどいい散歩になりました。
代官山から中目黒、そして密集した住宅街という短い距離で景色が変化していく。ずっとこうやって東京で出張販売をしていられたらと少し思いました。

出張販売は木曜日から土曜日までで、日曜日は後片付けの日にしていました。
片付けをした後は自由で、どこかお店を見に行くことができます。
しかし、街を歩き回るにも、重い調整機を引きずって、3日分の洗濯物を背負っては辛過ぎるので、渋谷のコインロッカーに荷物を預けに行きました。東京のコインロッカーで空きを見つけるのは至難の業ですが、運良く入れることができました。
渋谷は人が多く、道もジグザグで苦手な場所です。伊東屋さんで長時間遊んでいたけれど、他には寄らず中目黒に戻りました。
知っている店がたくさんあるわけではないけれど、近くに来たらいつも行きたくなるcowbooksで1時間以上本を選んで、大好きな鞄フィルソンの店で鞄を触って、トラベラーズファクトリーでまたゆっくりしているうちに時間がなくなってしまいました。
絶対走りたくないと、いつも時間に余裕を持って行動する方ですが、モノレールに乗って羽田空港に着いた時には、乗る便の受付時間が過ぎていました。
何とか受付をしてもらって、急いで搭乗口に行ってそのまま飛行機に乗り込むという、最後はバタバタして東京を後にしました。

次は10月5日(土)6日(日)、東京インターナショナルペンショーで皆様にお会いしたいと思います。

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⇒2018.9.7「東京での出張販売」

*前の記事「世界の中の日本の万年筆」

世界の中の日本の万年筆

世界の中の日本の万年筆
世界の中の日本の万年筆

最近、日本の万年筆の味わいについて見直したいと思うようになりました。
派手さや煌びやかさは感じないけれど、伝統から外れないよう慎重に決定されたデザインもまた万年筆の一つの形で、それが日本の万年筆なのです。
万年筆においては日本は独自の道を歩んでいて、それが世界中の愛好家にも認められています。
きっとずっと以前から世界の中の日本を意識した物作りがされていたのだと思います。
物作りにおいて、全ての仕事において世界を意識して仕事をすることは大切だと思っています。英語も話せない私が言うのも何だけれど、きっとそういう次元のことではなく、日本の中だけに目が向けていてはいけない。
世界に目を向けているからこそ、日本らしい、海外のものの真似ではないものを作ろうと思います。

日本の万年筆で良いと思うものはいくつもあるけれど、パイロットシルバーンは独特で、日本的な万年筆だと言えます。
ボディもキャップもスターリングシルバーです。
魅力的だけれど重くなりやすく、バランスが難しくなる素材ですが、キャップの尻軸への入りを深くすることで、キャップを付けても快適に筆記できるバランスを保っています。
ある程度重量があるペンの方がペン先の柔らかさが感じやすく、書き味が良く感じるものですが、シルバーンもキャップを尻軸にはめると重量を出ます。重くすることで、紙への当たりは硬く感じるけれど、しなりのあるペン先が生きる仕様になっています。

この末端を絞ったボディ形状のため、シルバーンに標準でついているのはコンバーター40というインク吸入量の少ないコンバーターです。これはシルバーンにはあまりにも貧弱に思えて、シルバーンにおいては唯一不満を感じる点です。
いっそ色は選べないけれどカートリッジインクを使うか、メーカーは推奨しておらず、個体によっては入らない場合もあるけれど、思い切ってコンバーター70を使う方がこの万年筆を使いやすくしてくれると思っています。

結構大型で、立派な万年筆シルバーンですが、キャップはパチンとしめる勘合式で、スピーディーに書くという、万年筆が仕事道具の代表だった時代の実用性を今も持ち続けています。
私たちは万年筆を趣味の道具だとして、分かりやすい遊び心や美しい装飾のある万年筆にばかり目を向きていたのかもしれません。
改めてシルバーンを使ってみると、しっかりと文字を書くことができる良いバランスや、濃淡が筆圧の加減で出せるペン先から生み出される書く楽しみも、また万年筆ならではのものだと思い出します。

誠実な日本の物作りの思想によって生み出された、真面目な万年筆の良さは世界に通用するもので、こんな万年筆が身近にあることを誇りに思っています。

⇒パイロットシルバーン

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⇒2018.3.23「パイロットシルバーン」
⇒2012.1.27「美しい文字が書けるペン パイロットシルバーン」

*前の記事「アルラン社ゴートヌバックのペンシース~スマートで手触りの良い革」

アルラン社ゴートヌバックのペンシース~スマートで手触りの良い革

アルラン社ゴートヌバックのペンシース~スマートで手触りの良い革
アルラン社ゴートヌバックのペンシース~スマートで手触りの良い革

カンダミサコさんの革製品はシンプルなデザインなので、それに似せたものを目にすることもありますが、微妙なカットやステッチの入れ方・革の質や色合わせのセンスなど、そういったものとは一線を画したものだと思っています。
違いは細部を見ていくとより分かりますが、シンプルに全体の雰囲気にも表れています。
当店はこういう良いものを教えてくれる革職人さんの作品を扱えて、つながりを持つことができて本当に良かったと思っています。
万年筆に関連するステーショナリーを扱う店にとって、他店と差別化するためにも、革製品の存在は重要だと思っています。
カンダさんに特注して作っていただいているペンシースや手帳は当店の特長になっていて、当店の世界観はカンダさんの表現力で形にすることができています。

カンダミサコさんと言えば色数の多いシュランケンカーフがその代名詞になっていますが、当店の「その年の限定革をひとつ決めて、その年はその革で様々なものを作る」という企画にも協力してくれています。
その企画のために、ユニークで私達があまり見たことのない革をいくつも用意してくれました。その中からカンダさんのお勧めでもあった、アルラン社のゴートヌバック革に決めました。

独特な模様と色で、洗練された印象の革。この革で作ったシステム手帳は早速人気が出て、追加製作をしていただきました。
ゴートヌバックは硬くて丈夫な山羊革の銀面をバフ掛けして毛羽立たせた革で、気持ち良い手触りです。
スムースレザーのように油分が表面に出てきて光沢を出すようなエイジングはしないけれど、使い込むと起毛が倒れて、艶が出てくるヌバック素材ならではの使い込んだ風合いに変化します。
今回はこのゴートヌバックで、1本差しペンシースの標準サイズとミニサイズ、2本差しペンシースを作ってもらいました。

1本差しペンシースの標準サイズには、ペリカンM800などレギュラーサイズの万年筆が、ミニペンシースにはペリカン101Nなどのショートサイズの万年筆が入ります。
2本差しペンシースには、細身ですがレギュラーサイズの万年筆を収納することができます。
どのペンケースもカンダミサコさんの代表作で、そういうものを今回選んだアルラン社のゴートヌバック革で作っていただきたかったし、この革をもっと試してみたい。
雰囲気も変わって、新しいお客様も取り込むことができる革でもあると思っています。

⇒アルラン社ゴートヌバック革ペンシース

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*前の記事「フリーダイアリーの活用」

フリーダイアリーの活用

フリーダイアリーの活用
フリーダイアリーの活用

1年以上前に入ったスケジュールや、毎年ある行事を終えて来年に向けての改善点や学習したことを書く場所に、困った経験はないでしょうか?
私は長年この課題を何とかしたいと思っていました。

連用日記などに書いておけば翌年同じ時期が来た時に見るかもしれないと思いましたが、つい普通に日記を書いてしまいそうで必要な情報を取り出せる自信がなく、このアイデアは没にしました。
色々考えましたが、システム手帳に来年のダイアリーも挟んでそこに書けばいいのだという簡単なことに、やっと気付きました。
来年のダイアリーが発売されるのは早くても8月なので、気付くのに時間がかかってしまった。
自分で日付けを書き込むフリーダイアリーなら、何年のダイアリーでもいつからでも作ることができます。
日付けを手書きしてもいいですが、数字のスタンプなどを使うと見栄えも良くて気分がいい。
やってみると時間はかかったけれど楽しかった。
先日発売された万年筆専門誌趣味の文具箱vol.50にも紹介されたかなじともこさんがデザインしているシステム手帳リフィル筆文葉にも、フレックスダイアリーというフリーダイアリーがあります。
かなじさんによる使い方のお手本は当店にもありますし、かなじさんのインスタグラムでも kanazeeという名前で投稿して紹介されています。
筆文葉には、スクランブル、吹き出し、大小水玉、分度器、木目吹き寄せパックというユニークなレイアウトのリフィルばかりをセットしたものがあります。
どう使おうかインスピレーションが湧くものもあるし、何も思いつかないものもあります。
この吹き寄せパックの使い方の提案をしているスターターキットは、かなじさんが印刷やコピーではなく全て手書きしたり、色を塗ったりしています。時間と手間が相当に掛かっている力作です。
リフィルの使い方が分かるだけでなく、かなじさんの読みやすく、端正な揃った直筆の文字が書かれたリフィルを自分のシステム手帳に挟んでおけるのも嬉しい。
かなじさんの書くことに対するこだわりや情熱が感じられる製品というよりも、作品だと思っています。

*7月7日(日)13時から15時、かなじともこさんの書くことへのこだわりを直接聞くことができるイベントを開催いたします。

⇒筆文葉吹き寄せパックスターターキット
⇒筆文葉リフィル(フレックスリフィル)
⇒オリジナル正方形フリーデイリーノート

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⇒2013.8.16「オリジナルフリーデイリーノート」
⇒2015.12.4「一期一会の時間を書き残すために~オリジナルフリーデイリーノート~」

*前の記事「ペリカンM805ブルーデューン~強い青のインクを入れたい万年筆~」