万年筆で書ける文字

万年筆で書ける文字
万年筆で書ける文字

今年最後のペン語りになります。
年明け1月5日(土)11時からホームページと店頭で、工房楔のお年玉企画商品を販売します。どうぞ、ホームページをご覧下さい。

当店は12月28日(金)から1月4日(金)まで年末年始休暇に入りますが、その間もホームページは営業しています。
工房楔の年末に仕入れた新商品は注目していただきたいし、、11月に発売になった限定万年筆ペリカンM800ストーンガーデンなどは、もっと人気が出てもいい万年筆だと思っています。お正月休みのお時間がある時に、じっくりご覧下さい。

きっと多くの方が賛同してくださると思いますが、ペリカンM800は手との一体感が感じられる万年筆だと思っています。
持っていること、万年筆で書いていることを意識させずに、自然体で書くことができる。そう思っているので、こんな風に書けたらと思い描いた文字が、M800なら自分なりにですが書くことができます。
でも書ける文字で驚いているのは、ウォール・エバーシャープデコバンドです。
私はこの万年筆を使って楽しい、書いて楽しい趣味の万年筆といつも言っているけれど、実はデコバンドは書道の経験のある人からの評価が高く、ただの趣味の万年筆という道楽の道具で片付けてはいけないのかもしれないと思い始めています。
ボディが大きいので、文字がつい大きくなってしまいますが、形の整った堂々とした文字が書けると思っています。
ウォール・エバーシャープのシド社長が、それはボディが大きく腕で書くようになるからだと説明していました。腕で書いているつもりはないけれど、自分の文字が変わることは意識していて、このペンでないと書けない文字があります。
万年筆は趣味で持つものだと私は決めつけています。そう仮定しないと様々なことの説明がつかないからだけど、やはりどうせ書くならじぶんなりに美しい文字が書ける万年筆で書きたいと思う。
M800とデコバンドにはその要素があって、愛用に値する万年筆だと、今年最後に皆様にお伝えしたいと思いました。
良いお年をお迎え下さい。来年もよろしくお願いいたします。

⇒ペリカンM800ストーンガーデン
⇒WAHL-EVERSHARP(ウォール・エバーシャープ)TOP

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イタリアの家族経営の物作り アウロラ

イタリアの家族経営の物作り アウロラ
イタリアの家族経営の物作り アウロラ

イタリア人の家族経営の会社の多くが、事業を拡大させることよりも仕事の質を上げることを大切にしていることを、いくつかの本を読んで知りました。
彼らはアメリカ式の均一にサービスを提供するチェーン展開のように、たくさんのモノを売ったり、作ったりすることを良いとは思わない。
提供できる数に限りがあっても今のクオリティを維持し、できればもっと良くして、自分たちが提供するサービスのファンになってくれている人にもっと喜んでもらえるものを提供したいと思っていて、そうすることが自分の仕事を長く続くものにすることにつながると信じています。
そういう考えを繰り返し読んで、自分にもその考えが染み付いたのは、直感的にイタリア人の経営の哲学に共感したからなのだと思います。

全ての日本人とイタリア人がそうではないと思うけれど、両者は似た感覚を持っているように思います。それは世界的に見てもユニークで、日本人とイタリア人だからこそ持ち得たものではないか、と思うのです。
堅実な経営をする小さなイタリアの会社が多い中で、オマスとデルタの倒産は非常に残念でな出来事でしたが、それだけイタリアの経済は日本以上に不況に喘いでいるのかもしれない。
アウロラも万年筆の会社としては小さいとは思わないけれど、世界的に見ると小さな会社で、万年筆を中心とした高級筆記具だけを作り続けています。
他の業界と同じように、ヨーロッパではメーカーを越えて部品の共用化が進んでいて、各パーツの専門業者から供給を受けることで、生産の効率化が図られています。それが今の物作りで、仕方ないことなのかもしれません。
しかしアウロラは今も自社による一貫生産にこだわっていて、全てのパーツがオリジナルで、自社で作られています。
そんな物作りをしている万年筆メーカーは日本のメーカーとアウロラだけで、非常に稀有な存在です。

特徴的な書き味の14金ペン先も使い込むと柔らかい書き味に変化していき、万年筆を使って育てることを教えてくれますし、限定品などに使われている18金ペン先は柔らかい書き味を持っていて14金を使用する定番品と差別化されています。
ほとんどのメーカーが、その優れた生産性の高さから、プラスチック製のペン芯を使用していますが、アウロラはエボナイト製のペン芯にこだわっていて、これも使い込むほどに書き味が良くなっていくのに役立っていて、アウロラの特長になっています。

アウロラは来年100周年を迎え、99周年の今年も多くの限定品を発売してきました。
最新作は、サトゥルノは、定番品の88をベースとしています。
アウロラには88とオプティマという代表的な定番モデルがあります。
88は両エンドが丸く、バランス型と言われるボディ形状をしていて、その分大きく見えます。オプティマは両エンドがカットされた平らな形状になっているベスト型で、コンパクトな印象のあるペンです。

少し前に発売された限定品オプティマ365タルタルーガはオプティマがベースとなっています。
どちらにも共通するのは、大人っぽい抑えた華やかさを持ったペンで、イタリアらしい美的感覚で作られたペンだと言えます。
真紅のマルス、明るいオレンジ色のソーレという、これらもとてもイタリアらしい強い色彩を持つ現在販売中の限定万年筆ですが、それらにもまた違ったイタリアらしさを感じます。
経営の仕方や物作りの哲学など、イタリアと日本で共通の感覚はあっても、デザインの感覚や製品はかなり違っていて、イタリア人に日本製のような安価で良質なオーソドックスな万年筆は作れないし、日本人にはイタリア製のような美しい万年筆は作れないと、多くの製品を見て思いますが、お互い持ち得ないところを持っています。

ユニークで独創的なアウロラの万年筆がイタリアの万年筆の象徴で、今のような堅実で自社の強みを生かした経営を続けてもらいたいと心から思います。
いつまでも存在し続けて、100年、200年と万年筆を作り続けてもらいたいと思っています。

⇒AURORAトップページ

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ウォール・エバーシャープ スカイライン万年筆

ウォール・エバーシャープ スカイライン万年筆
ウォール・エバーシャープ スカイライン万年筆

日本で唯一当店が輸入しているウォール・エバーシャープ社との仕事は、ゆっくりしたペースですが着実に進んでいます。
オーバーサイズ万年筆デコバンドは、使っていて楽しく書き心地の良いもので、特別だと思える万年筆です。いつでもお渡しできるように、できるだけ在庫を持ちたいと思って仕入れています。
しかし、実はウォール・エバーシャープ社で最も有名なペンはスカイラインです。
1940年代当時、販売競争が激化していた状況で、ウォール・エバーシャープ社が工業デザイナーの ヘンリー・ドレファス氏に依頼し、社運を賭けて作り上げたスカイライン万年筆は、流線型の滑らかなデザインと実用性の高さから大ヒットしました。
ウォール・エバーシャープ社が今の体制になった1990年代からスカイラインを復刻して、作り続けています。

当店もスカイラインを揃えたいと思っていましたがなかなか数が揃わず、出張販売に1、2本持って行くのが精一杯でした。今回ある程度の数が用意出来ましたので、ホームページに載せることができました。
スカイラインは標準サイズの万年筆で、ペリカンで言うとM600、アウロラオプティマに相当する万年筆です。
キャップが金属で重く、それに対してボディは軽いのですが、キャップの尻軸への入りが深いのでバランスは悪くありません。
本国仕様のスカイラインのほとんどがスチールペン先で販売されているのですが、当店が販売するスカイラインは、日本仕様として14金ペン先にアップグレードしています。
店頭にはアルミ削り出しボディの「テクニック」というモデルがスチールペン先でご用意していますので、ご来店のお客様にはスチールペン先もお試しいただけます。

スカイラインのペン先は字幅がひとつしかなく、国産のペン先で言うと太字くらいの太さになります。柔らかめのペン先なので結構太めになりますので、中字や細字をご希望のお客様には研ぎ出しして対応いたします。
ホームページの字幅選択欄でB(太字)以外は研ぎ出しM(中字)、研ぎ出しF(細字)となっているのはそのためです。
研ぎ出してご用意していますので、Bより細ければお客様のお好みに合わせることができます。メモ書きをお送りいただいたり、アバウトに国産極細くらいという指示でも可能ですのでお申し付け下さい。

最近当店では、スタブのペン先を求めるお客様が増えています。
ある程度万年筆が揃ってくると同じようなペン先ばかりになります。よく使う太さはどうしても決まってきますので、線の形が少し違う、スタブのような仕様もいいのかもしれません。
スカイラインのセルロイド調のアンバーパールはカートリッジ・コンバーター両用式で、カートリッジは標準的なヨーロッパタイプです。
ブラック×ゴールドキャップは尻軸を外すと吸入ノブが現れて、それを回転させて吸入させる方式になっています。

ある程度上質な万年筆が最近少なくなってきた。スカイラインは60年以上前にデザインされた昔の万年筆ですが、今の万年筆の業界の空白を埋める存在だと思っています。

*WAHL-EVERSHARP(ウォール・エバーシャープ)スカイラインシリーズ

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⇒2018.2.2「ウォール・エバーシャープ入荷しました」

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ペリカンM600ヴァイブラントオレンジと専用に誂えたペンシース

ペリカンM600ヴァイブラントオレンジと専用に誂えたペンシース
ペリカンM600ヴァイブラントオレンジと専用に誂えたペンシース

ペン先調整の専門的な話になってしまうけれど、寄りを強くしてインク出を絞った万年筆の調整を私は好みます。
そうするとどのようになるかというと、ペン先は硬くなるけれど左右が一体化したような滑りが得られ、インクの濃淡が出やすく、筆圧の加減で文字の強弱がつけられます。
もちろんそれは好みであって、インクが出が多く柔らかいペン先を好む人もたくさんおられることは承知しています。ペリカンの特長はインク出が多い豪快な書き味でもあるので、あくまでも個人的な好みのひとつです。

ペリカンは今年創業180周年を迎えていて、数々の限定品を発売してきました。
記念すべき年を締めくくる限定品として発売されたM600ヴァイブラントオレンジは、明るく瑞々しいオレンジ色で注目されています。
それはペリカンを象徴するモデルM400とM800の中間のサイズで、重さは軽いM400寄り、太さはM800寄りという、それぞれの良いところ取りのプロポーションであるM600がベースということにも理由があるのかもしれません。

M600という、女性の方にも扱いやすい軽いボディのコントロールしやすい万年筆だからこそ、前述したペン先の寄りを強くした絞った調整がハマると改めて思いました。
ペン先を固く絞ることで、どうしても背開き気味になるM600のペン先に一体感が生まれ、別もののような滑りが得られる。
そんなペン先の調整に共感して下さる方がおられたらいいなと思う。
ホームページでおまかせ調整のコメント欄に「12/7のペン語りの調整で」と書いていただけたら、このように調整いたしますのでぜひお申し付け下さい。
店舗でご購入のお客様にはいつも対面で調整していますので、興味のある方は試していただきたい調整のひとつです。

M600ヴァイブラントオレンジの発売と同時に、カンダミサコさんに専用ペンシースも作っていただきました。
定番のペンシース同様、外革はシュランケンカーフを使っていますが、ロゴは金の箔押し、牛革の内張りも施していますので定番ラインより豪華な仕上がりです。
内張りを施すことでペンシース本体がしっかりして、万年筆を収納していてもより安心感があります。
今までもM600の限定品発売の時には、カンダミサコさんがそれぞれのイメージに合わせたペンシースを作ってくれていて、当店らしい企画だと思っています。限定生産ですが、この華やかな万年筆とともにぜひお使い下さい。

M600ヴァイブラントオレンジを気にされる方が多いのは、バランスがちょうどいいM600がベースだからかもしれないけれど、オレンジという元気になれるような、パワーのある明るい色だからなのかもしれません。
私は黒っぽいものばかりを好んできたけれど、モノから得られる元気もあるのかもしれないと思うようになりました。

*特別生産品 スーベレーン600 ヴァイブラントオレンジ
*ペリカンヴァイブラントオレンジ用1本差しペンシース

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⇒2015.10.2「カンダミサコさんの特別仕様ペンシース」

*前の記事「神戸の職人さん」