携帯用のペン先調整機を手に入れる

携帯用のペン先調整機を手に入れる
携帯用のペン先調整機を手に入れる

6月に札幌、7月に福岡のイベントを控えて少しずつ準備をしています。
外でのイベントは昨年始めからイメージし続けていましたが、10月頃から急にバタバタと物事が決まり始めました。
昨年1月の代官山蔦屋書店でのイベントでは調整機を運ぶために車で東京に行きましたので、車なしで外に持って出ることのできるペン先調整機が必要でした。
大先輩に甘える形になってしまったけれど、11月に名古屋のペンランドカフェの高木雅且会長を訪ねて、食品加工機械を製作されている尾崎さんを紹介していただきました。
今使っているペン先調整機は9年使っていて、改良点や追加したい機能のイメージがはっきりしていました。そして尾崎さんが製作されたペンランドカフェさんの調整機をベースにできたので、訪問したその日のうちに全ての仕様を決定することができました。
打ち合わせから半年の間、メールで何度もやり取りして、尾崎さんにはゴム砥石の製作や図面起こしもしていただきました。

そしてついに新しい調整機を持って、高木会長が運転する車にペンランドカフェの荻敏英店長と尾崎さんが来て下さいました。
わざわざ持ってきて下さって恐縮しましたが、尾崎さんから直接説明を受けることができたし、荻さんとペン先の調整について話すことができました。
そして本業だった会社の経営を息子さんに引き継いでおとなしくしている、とご自分ではおっしゃっている高木会長のお元気な様子も分かりましたので、皆さんにお会いできて本当によかったと、今も興奮が冷めずにいます。

新しい調整機は、試行錯誤を共にした調整機で得たノウハウを全て反映させた、完璧なものになっています。
モーターやベルト、ベアリングなどの作動音は驚くほど静かになっているし、砥石の回転数も無段階で変更することができる上に、回転方向も切り替えることができる。
他にも色々変更点があり、これで細字研ぎ出し加工もやりやすくなりました。

ペン先調整においては、ペンポイントをいかに温存したまま書きやすくするかを念頭に置いているけれど、同時に美しく仕上げたいと思っています。
美しいペンポイントへの憧れはかなり以前から持っていて、趣味の文具箱のペンポイントを超高倍率で撮影した写真などいつまでも見ていられます。
ペンポイントの研ぎを追究したいという想いは昨年あたりからさらに強くなっていて、きっと自分はこれからもこれで身を立てていくのだろうと確信しました。

ペンポイントの研ぎについてだけはいくらでも話すことができるし、その道具についてでも同様で、新しい機械ができたことでまた話すことが増えた。
新しい機械は出張調整用の機械で、今までの初号機も並行して使っていくけれど、自分の手を馴らすためにしばらくは集中して使っていきたいと思っています。

札幌のイベントも福岡のイベントも、いつあるか分からないイベントをアテにするのをやめて、自分たちで実行しようと思って企画しましたが、結局多くの方の助けをいただいて実現することになりました。自分たちだけでは本当に何もできなくて、ご協力いただいている方々に改めて感謝しています。

イベント日程はそれぞれ下記の通りです。お近くの方もそうでない方も、ぜひお立ち寄りください。
対面調整をしての販売がメインとなりますので、ご希望の万年筆がある場合などは先にお知らせいただけましたらご用意してお持ち致します。インターネット販売で直接お会いしたことのない方にも、ご挨拶できればと思っています。

〇札幌イベント 6月24日(土)・25日(日) 10時~19時
ギャルリー ノワール/ブラン
札幌市中央区南2条西6-5-3 住友狸小路プラザハウス2F

〇福岡イベント 「Pen and 楔」 *工房楔との共同開催
7月8日(土)・9日(日)11時~18時(最終日は16時迄)
ギャラリートミナガ 福岡県福岡市中央区大名2-10-1シャンボール大名A-103

〇調整応援 7月1日(土)・2日(日) 10時~17時 *調整応援として滞在しています。
Ka-Ku(カーク)奈良店(奈良大和西大寺のならファミリー内)

関連記事

⇒2013.6.7「ペン先調整雑感」
⇒2016.11.25「当店のペン先調整について」

*前の記事「1本差しのル・ボナー絞りのペンケース」

1本差しのル・ボナー絞りのペンケース

1本差しのル・ボナー絞りのペンケース
1本差しのル・ボナー絞りのペンケース

万年筆をたくさん持ち歩くのもいいけれど、今日使うと朝選んだ万年筆を1本だけ持ち出すためのペンケース。
革の色によって印象は変わり、ドイツ製の黒軸の万年筆はレッドやブラックのレッドステッチなどの鮮烈な印象の色を、イタリアの万年筆にはトープやキャメルにグリーンステッチなどの薄めの色が合う、と独断と偏見で思っていますがそう外れていないのではないだろうか。
チョコやワインは当店のコンチネンタルのシリーズと相性が良い。
このペンケースに使われているブッテーロ革は、使い方やお手入れ次第でかなり違いが出てきますので、私がお勧めしたいのは「革用ブラシをかけること」です。

少しくらいの傷ならブラシ掛けで消えてくれるし、粒が立ったようなキラキラした輝きを持ってくれます。
もっと優しく、乾いた布で優しく撫でるという手入れもあります。
すぐに効果は出ないかもしれないけれど、気付いた時にハンカチなどで軽く撫でるように磨く。そうした時のエージングの美しさはもとの状態の数倍にもなると思います。

もう今回入荷分は色数が少なくなってしまいましたが、また入荷しますのでぜひお手に入れていただきたいと思います。
絞りのペンケースは、ブッテーロ革を2枚重ねて熱を加えながら絞ることで革を形作る技法で、革が硬いシェル構造になりますので、一般的な革を縫製するペンケースよりも、丈夫で中身を守るペンケースになります。
当店は開店間もなくからこのペンケースを扱ってきましたが、絞り加工を施していた職人さんが高齢で引退されたため、作れなくなってしまいました。
それからル・ボナーの松本さんが粘り強く、様々な実験、試作を重ねて量産にこぎつけることができました。

今回1本差しのみ入荷しましたが、3本差しも入荷してくる予定です。
1本差しはキングプロフィットなどオーバーサイズのペンまで入り、3本差しにはペリカン146などのレギュラーサイズのペンまではいりますが、ペリカンM1000も入れることができます。
開業したばかりの頃の当店は商品数も少なく、特長もありませんでした。
そんな中でル・ボナーの松本さんが出来上がったばかりの絞りのペンケースを販売させてくれました。
他所では売っていない、素材が良く、縫製などのクオリティも高いこのペンケースはとてもよく売れました。
そういう商品があるというのは、開店したばかりの店には大変有難く思いました。
松本さんは当店で売るためにこのペンケースを開発してくれたのではないかと思ったくらい感謝していて、そのペンケースをまた販売することができることに、感慨深いものがあります。

*ル・ボナー「1本差し絞りペンケース」

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⇒2014.6.6「1本を集中的に使う」

*前の記事「装丁文庫ノート」

装丁文庫ノート

装丁文庫ノート
装丁文庫ノート

毎日ではないけれど、ぼんやりとした考えがまとまってひとつの完成された論理になったり、その日あった忘れたくないことなどは書きとめておきたいと思います。
書きたい気持ちだけを優先して、そういうものをそのときたまたま使っているノートに書いてしまうと散逸してしまうので、できれば決まったものに書いておきたい。
今までそうしてこなかった後悔が私にはあります。

自分の考えや心の中にある大切なことは、大きなノートに堂々と書く感じではなく、夜一人の時間に小さめのノートにひっそりと書く方がいい。
そういう使用のためのノートを作りたいと何年も思っていました。

大和出版印刷の上製本ノートは、大和出版印刷が紙製品のブランド「神戸派計画」を始めるきっかけとなったものです。
万年筆を愛用していて、それに見合ったノートを作りたいと10年ほど前に大和出版印刷の武部社長が号令をかけて作ったノートで、この上製本ノートでのノウハウが、この装丁文庫ノートに生かされています。
どのページも平らに開きながらも丈夫な製本は、上製本ノートと同じ製本会社が手掛けていて、それはこのノートにおいて最もこだわった部分でもあります。

万年筆で書いた時に気持ち良く、書き味を楽しみながら書くことができる用紙にもこだわりました。
その紙を作った機械が老朽化のため廃棄処分となってしまい、同じ紙が作れなくなってしまったLiscio-1紙。現在製品として仕上がっているものしか存在せず、幻の紙になりつつあります。
今回大和さん秘蔵のLiscio-1紙を、このノートの用紙に使用することができました。
完全ににじまないとか、どのインクでも絶対に裏抜けしないというものではないけれど、この紙ほど書き味の良い紙を他に知りません。
ペン先を紙に当てるとシュワッと、まるで紙がインクで溶けたのかと思うような気持ち良い書き味が特長です。
Liscio-1紙を大和出版印刷さんのはからいで幸運にもこのノートに使用することができましたが、第2版を製作する時にはこの紙を使用できるかどうかは分かりません。
その時はこのノートの性質にあったなるべく書き味の良い紙を選びたいと思っています。

日付入りの日記帳ではなく、いつでも書きたい時に書けるノートの体裁をとっていますが、ページ数は368ページで1日1ページの日記帳として使うこともできます。
とっておきの紙を使用した、装丁文庫ノートの初版を10周年の今年に発売できることをとても嬉しく思っています。
皆様の万年筆で書く暮しの中にこのノートが浸透すれば何よりです。

⇒装丁文庫ノート

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⇒2008.11.8「大和出版印刷上製本ノート 第2弾」

*前の記事⇒「ペリカンM101Nブライトレッド発売」

ペリカンM101Nブライトレッド発売

ペリカンM101Nブライトレッド発売
ペリカンM101Nブライトレッド発売

ペリカンの1930年代のモデルのデザインを使用し、現代の素材、機構を備えたM101Nシリーズ新作ブライトレッドが発売になりました。
M101Nは2011年のトータスシェルブラウン、2012年のリザード、2014年のトータスシェルレッドに続く4作目になります。

ブライトレッドも1930年代後半に製造されたモデルの100Nがベースになっています。
クラシカルな過去のデザインと現代の仕様を融合させたこのM101Nのシリーズを、私はひとつの理想的な万年筆として見ています。
現代的でシャープなデザインのものもいいけれど、戦前の万年筆のデザインに温かみや威厳のようなものを感じることができると思います。
それならビンテージの万年筆が理想かと言われると、それは見ていてとても楽しいものではあるけれど、実際に使うとなるとインク漏れが気になったり、修理ができなくてずっと使い続けることができなかったりという、使うことにおいての制約がありますので使い辛い。
それは違うと言う人もいるかもしれませんが、私にとってビンテージの万年筆は実用の道具として考えにくいものなのです。
私が最も楽しいと思っていて、多くの人に伝えたいと思っていること、万年筆で書くということを楽しませてくれるものになりにくいというと反感を買うだろうか。

ペリカンは2000年頃から自社のビンテージの万年筆を限定品として少しずつ復刻させていて、それらはどれもとても人気がありました。
個人的に1931ホワイトゴールドに憧れて、発売5年後に新品で手に入れる機会を得られた時はとても嬉しかった。
書き味が当時と違って硬いという人もいますが、昔の柔らかいペン先よりも硬いペン先の方が実用としては使いやすいと、筆圧が低い私でも思っています。
この硬いペン先も、使い込んだ時にとても滑らかな良い書き味に化けたことに驚きましたが、これが限定品としての仕掛けだったのだと納得しました。

万年筆の書く以外の楽しみは、ペンケースなど収納するものに凝ることだと思っています。
潔く1本差しにその万年筆だけを入れるというのも、この世界ではかっこいいことだけど、コンパクトなM101Nのような万年筆だと2本差し以上のペンケースに何かとコーディネートして収納したい。
当店オリジナルのWRITING LAB.ペンケースピノキオは、M400やM700トレドなどがピッタリと収まるペンケースですが、M101Nもそれらと変わらないサイズなので、ピノキオにきれいに収めることができます。
ちなみにピノキオにM101Nを収める場合、クリップは内部の丸い仕切りの外に挟んだ方がスムーズに入れることができます。
ピノキオは2本の万年筆をコンパクトに収めるという目的で作ったもので、ジャケットのポケットなどにそのまま入れて持ち歩くことができるもので、そういった使い方にM101Nも合っていると思います。

いつも持ち歩いて、どんどん使うことができるクラシカルなデザインの新しい万年筆がM101Nです。

⇒特別生産品M101Nブライトレッド

関連記事

⇒2013.12.20「~仕事にも使える遊び道具~ペリカンM101Nリザード」
⇒2014.10.24「ペリカンM101Nトータスシェルレッド」

*前の記事⇒「銘木ロマン~工房楔のイベントが終わって~」