万年筆の文化を伝える~モンテグラッパの万年筆~

万年筆の文化を伝える~モンテグラッパの万年筆~
万年筆の文化を伝える~モンテグラッパの万年筆~

万年筆は書くことを楽しくしてくれて、暮しの中で書くことが重要な位置を占めるという人を増やしてくれる役に立つものだと思って、万年筆店をしています。

実用一辺倒の国産万年筆から、ペリカン、アウロラなどのデザインにも主張のある万年筆、自身の美意識を表すファーバーカステルの筆記具へとステップアップして万年筆を楽しんでほしい。
価格は高くなるかもしれないけれど、その楽しみを理解する人も増えて欲しい、と思ってきました。
万年筆の文化とは書く楽しみもありながら、その書き味、ボディの設えからそれぞれのメーカーの哲学や芸術的な表現を感じて、それを自身のアイデンティティに取り込むことだと思っています。
言い換えると、自分の生き方を表現するものとしての万年筆を選ぶ。
書く道具である万年筆を自分の美意識を表現するものとしてまで昇華させて選ぶことが、万年筆の行き着くひとつの頂点だと思っています。

その頂点にある万年筆のひとつとして、当店はモンテグラッパを提案したいと思います。
このコーナー「店主のペン語り」は、当店が2年目を迎えた8年前に始めて、最初に取り上げた万年筆がモンテグラッパネロウーノでした。
他のメーカーにない特別感がモンテグラッパにはあって、それが当店が目指すものに近いと思って無視できない存在でした。

エキストラ1930はセルロイドの自然で滑らかな色合いのボディ、ボディサイズと不釣り合いなほど大きなペン先を持つ万年筆です。
書くために重要なパーツであるペン先を大きくしているところからも、このエキストラ1930は実用万年筆寄り、だと思っています。
セルロイドは万年筆のボディとして使用できるまでに、数年間寝かせて気化物を飛ばさなければ縮んでしまうし、作る時も1本ずつ削り出さなくてはなりません。
大量生産に向かない素材ですが、きらびやかな中にも落ち着きのある、セルロイドでしか表現できない質感があると思っています。

エキストラ1930には金属パーツが全て18金無垢というものがあって、シンプルに素材のみを金無垢にしたというところに粋を感じます。
さすがにここまで来ると実用品と言うのに無理があるかもしれませんが、金無垢のパワーを持ったエキストラ1930を日常使用に使いたいと思う人もいるかもしれません。

モンテグラッパは八角形にこだわっていて、今までも様々なものが八角形で作られてきました。
エキスオラオットーもモンテグラッパのラッキーナンバーである8をテーマにした万年筆です。専用のセルロイドを使用していて、八角形のボディになっています。
木目のような模様でありながらキラキラしたセルロイドは、断面のあるボディだからこそ良さが出る。
いつまで見ていても飽きない、数少ない万年筆だと思います。
これらのモンテグラッパの万年筆に私はただ書くだけでない芸術性も感じていて、見ているだけでも楽しめる。
筆記具と呼ぶにはあまりにも大きな存在であるこれらの万年筆は、万年筆の販売において一番難しいものだと思っています。

実用において何か理由があって値段の高いもの。例えばペリカンM800はプラチナセンチュリーと比較すれば高い理由・良さは一目瞭然だけど、モンテグラッパのこれらの万年筆は実用一辺倒に万年筆と比較するべきものではないと思っています。
他のどの万年筆とも比べようのない、筆記具と呼ぶにはあまりにも大きな存在の自身の美意識を表現するものだと思っています。

⇒モンテグラッパ セルロイドコレクション エキストラ1930 バンブーブラック

関連記事

⇒2008.10.10 「モンテグラッパ ネロウーノ」
⇒2016.3.4 「憧れる不良性 モンテグラッパエキストラ1930/エキストラオットー」

*前の記事 ⇒2017.2.17 革質で選ぶペンケース

革質で選ぶペンケース

革質で選ぶペンケース
革質で選ぶペンケース

久し振りにル・ボナーのデブペンケースが入荷しました。
今回入荷したのは、発色の良さと、傷がつきにくく丈夫なシュランケンカーフのものです。この革は扱いやすくて、本当に良い革だと思っています。
使い込んだ時のエージングはほとんどないけれど、いつまでもきれいな状態で使うことができる。
デブペンケースの代表的な素材の、エージングが美しいブッテーロ革と対極にある革で、この辺りは好みの分かれるところかもしれませんが、傷を気にせずに使うことができることは大きなメリットだと思います。

柔らかいカーフの皮を薬品で縮れさせると80%くらいに縮み、使える面積は小さくなりますが、それだけ密度の高い丈夫な革になります。
厚みを感じるのにしなやかさがあるのは、そんな製法からきているのかもしれませんが、型押しでシボを作っている革との違いは歴然で、手触りが違う。
発色も自然で、美しい。色数も増えています。
手に入れることがなかなか難しい革で、誰もが使うことができる革ではありませんが、ル・ボナーさんはその革をかなりの量買い付け、鞄や今回のペンケースなど小物にも使っています。

デブペンケースは、容量が大きいのでペン以外にも様々な小物を入れることができ、その中に万年筆を1本だけ同居させるときに、保護のためにもカンダミサコさんの1本用のペンシースが役立ちます。
カンダミサコペンシースも、シュランケンカーフを使用していますので、外側のデブペンケースと同色にしたり、コーディネートしたりする楽しみがあります。
ペンシースは革を円筒形にクルンと丸めて縫っただけのとてもシンプルな作りですが、素材としているシュランケンカーフの発色と、ステッチの色合わせ、革の丸みなどから、とてもかわいらしいものになっています。
ペリカンM800くらいが収まり、レギュラーサイズのペンなら多少の窮屈さがあったとしても収めることができます。

革の楽しみは、使い込んだり、手入れしたりして、艶が出たり、色が変化していくことに尽きると私は長い間思っていました。
しかし、そういった革には多少取り扱いに注意が必要で、手入れもしないといけません。それも革の楽しみではあるけれど、まず道具として使うことができて、いつまでもきれいな発色を保ってくれるシュランケンカーフも楽しい革だと思い始めています。
シュランケンカーフ、某ブランドも最高級品に使用している革だけのことはあって、モノに使われないスマートな使いこなしができる革だと思います。

関連記事

⇒2009.12.4 カンダミサコさんのペンシース
⇒2016.2.26カートリッジインクに遊び心~カンダミサコ小長持ち~

*前の記事⇒2017.2.10 手紙を書く道具

手紙を書く道具

手紙を書く道具
手紙を書く道具

有り難いことに手紙を書く機会が多い。
最近ではライフの来富という便箋をよく使っています。
来富はバンクペーパーというかなりしっかりした上質な便箋に向いた紙を使用していて、にじみがほとんどないのと、ペン先を置いた時に感じる「サクッ」という感触がとても好きで、なかなか他のものに替える気になれなくなっています。

ある時から、インクのにじまない紙に惹かれるようになりました。以前は自分の悪筆を誤魔化してくれるような紙ばかりを好んで使っていたけれど、それはもしかしたら私にとって悪筆を助長させる行為だったのかもしれません。
バンクペーパーはにじみは少ないけれどインクが伸びないわけではなく、書き味も良く、気持ちよく手紙を書かせてくれます。

私の固い頭ではタテ書きの手紙は黒インクというイメージが強くて、ほとんどの場合黒インクを使っています。今ほとんどの万年筆には当店のオリジナルインク冬枯れが入っている。
黒インクでも赤が目立つものや、緑や青がベースにあるようなものが結構ありますが、冬枯れは黒とグレーの中間くらいのあまり濃い黒ではないけれど、他の色が混じっていない、黒だけでできているところが気に入っています。
乾くと紙にスッと沈むような、少し薄めの黒なので、濃淡が出やすく、拙い文字に何となく勢いというか、魂を込めてくれる。
ページ全体が黒々とならないので、冬枯れは手帳にも使っているけれど、手紙もあまり黒すぎると目にうるさく感じられてしまうかも知れない。特にペリカンなどインク出が多いペンには冬枯れくらいがちょうどいいと、引っ込み思案な私はいつも思っています。

いつからか手紙に使う万年筆というものが決まってきました。
それまでどの万年筆でも気にせずに使っていたけれど、軽い万年筆ではタテ書きの便箋に上手く書けなくなってしまった。
ヨコ書きやノートでは気にならないのに不思議ですが、ある程度重量があって、太い万年筆の方が大きめの文字を書くタテ書きの便箋には合っているのかもしれません。
ペリカンM800、M1000、アウロラ88、パイロットカスタム743、カスタム823、パイロットシルバーン、プラチナブライヤーなど書くことにのみ存在価値があると言うと語弊があるけれど、書くことで真価を発揮する万年筆はやはり手紙を書くことにも向いていると、頭の固い私は思っています。

いざ書こうと、大きめの万年筆を構えて、ペン先を紙に「サクッ」と置く感じが私は好きです。
万年筆を使う用途が手紙だという人はそれほど多くないかもしれないけれど、ライフの便箋来富と冬枯れのインク、そして細字から中字の大きな万年筆は手紙を書くための最高の組み合わせだとお勧めしたいし、一人でも多くの人に、この道具たちで手紙を書きたいと思っています。

関連記事

⇒2011.9.23 ライフ紙製品見習うべき姿勢
⇒2011.9.16 黒インク

*前の記事 ⇒2017.2.3 辛口の紙に極細のペン

辛口の紙に極細のペン

辛口の紙に極細のペン
辛口の紙に極細のペン

ホームページをリニューアルしました。
デザインは変わっていないけれど、構造が変わって今までと違うことができるようになりました。
私たちがまだ使いこなせていないこともあり、さすがに値段は間違っていないけれど、不具合や整合性のとれていない場所もあり、順番に整理して熟成していきたいと思っています。
しばらくの間、お見苦しいところもあるかもしれませんがご容赦下さい。

ホームページリニューアルとともにメールアドレスを変更しました。
新しいメールアドレスは pen@p-n-m.net です。今後はこちらへご連絡下さい。
リニューアルに伴い、ペン先調整料金も改訂しています。
詳しくはこちらをご覧ください。 ⇒Pen and message.ホームページ ペン先調整について

当店と金治智子さんとの共同企画のシステム手帳リフィルのブランド筆文葉のブログ「筆文葉のある生活」は、かなりユニークな罫線の筆文葉リフィルの使いこなしを説明していて、記事数も増やしています。リフィルの使いこなしだけでなく、読み物としても面白いものだと思いますので、システム手帳をお使いでない方もぜひご覧いただきたいと思います。

筆文葉リフィルは罫線も凝っていますが、その紙質もこだわって選んだものを使用しています。
手帳などの紙は、普通薄くて表面のツルツルした紙を選ぶことが多いようですが、筆文葉の紙は質感のある手応えのある書き味を狙いました。
無機質な書き味ではなく、自然な書き味で、私はこういう書き味の紙を辛口の紙と呼んでいます。
滑らかさを追求した引っ掛かりの全くない紙は甘口の紙で、私の感覚と独断によるものだけど、その表現で何となく伝わるのではないかと思っています。

色々なものを使ううちに、そういう辛口のものが良いと思えるようになってきました。
辛口の筆文葉の紙は、紙の質感を楽しむことができるし、インクの吸収が早く、にじまず素早くインクが乾きます。
厚みがあって、丈夫なしっかりした紙なので、繰り返しめくったりするシステム手帳には向いていて、保存性も高い。
筆文葉のリフィルを使うようになって、3mmの罫線に文字を収めるということをするようになりました。
1ぺージにできるだけたくさんの情報を書きたいと思って始めたことだけど、見開きでその月の全てを見ることができるメリットは大きく、何かを忘れることが少なくなりました。
今私が持っている万年筆の中で、3mm罫線にも書けるのは国産の細字が2本しかないけれど、手帳は万年筆でしか書かないので、細く書くことができる万年筆への興味が強くなっています。
3mm罫には国産細字でも書けなくはないけれど、画数の多い字でもなるべくクッキリと書きたいので極細に注目しています。

国産の極細について調べてみると、安定供給されているものは、定番のパイロットカスタム、セーラープロフィット、プラチナセンチュリーなどに絞られることが分かりました。
それではと、自分用にペリカンM400<EF>を極細研ぎ出しにして3mm罫に文字を収めるように書いています。
9mm横罫(3mm補助罫)リフィルに、自分でグレーのボールペンで罫線を引いたオリジナルダイアリーを作って今は使っています。今までで一番使いやすいものだと喜んで使っています。

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⇒細字研ぎ出し万年筆
⇒大人の手帳リフィル「筆文葉」の紙質