イタリア的モノ作り

イタリア的モノ作り
イタリア的モノ作り

私はイタリアの感覚的なモノ作りが好きで、信じている。
それはきっと万年筆というものが、イタリア人の感覚的なモノ作りに合っているからだと思っていて、見た感じ、触った感じ、書いた感じなどのフィーリングが重視される万年筆だからこそ、イタリア人の感覚と相性が良いのだと思います。

独特なバランス感覚で、様々な要素で絶妙な均衡を保っているイタリア人の美的感覚を顕著に表しているアウロラ、イタリア人のオシャレなマニアックさが万年筆に表れているオマスなど、タイプは違うけれど、イタリアらしすぎるほどイタリアらしい万年筆だと思っている。

特にオマスの定番品アルテイタリアーナなど12角形でいかにも作るのに手間がかかりそうですが、それがこの万年筆最大の特長になっていて、そのひと手間かける感じがオマスの魅力だと思います。
先日発売した限定品アートコレクション第2弾“ビジョン”などこの12角形と吸入機構が見える透明ブルーのボディと極端に柔らかい14金ペン先としっかりとした18金ペン先で書き味も選ぶことができる、美しくもマニアックな万年筆に仕上がっている。

オマスの12面体つながりではないけれど、革でも角を出すのは難しいと思いますが、イルクアドリフォリオの久内夕夏さんが作っているライティングラボオリジナルインクケース“CADDY”は本当によくできたと今でも感心しています。

革をオリジナルインクの瓶の形に合わせて八角形の筒型にしたもので、革をこのように精巧に作り上げるのは本当に難しいと思います。
でも久内さんはお得意の木型を使っての絞り技法と根気強さでこれを実現してくれました。
日本人なのに、その作風はイタリアらしさに溢れている。

オリジナルインクは、海外のブームが来ていて、日本中で売れすぎるくらいに売れている。当店も世間並みに売れて、ほとんどのオリジナルインクが品切れしている状態で、来年1月完成予定のものの予約を承っている状態です。
話を戻すと、もう一人イタリア的なフィーリングを重視する職人さんを知っています。
工房楔の永田さんがそうだと言えば、納得されるお客様もおられるかもしれません。
工房楔の、見た感じ、触った感じを大切にするモノ作りはまさにイタリア人のそれに近いと思っている。

パトリオットボールペンや0.7㎜ペンシルやこしらえなど、1本1本が微妙に太さが違ったり、素材によって、表面の滑らかさが違うのは、それぞれの材質の違いやそれぞれの材の個体によって仕上げ方を変えているからで、永田氏は木目の見え方や材質による手触りの違いを大切にしているからこういうやり方になります。
こういうイタリア的な感覚の職人の仕事は、同じものをたくさん作る大量生産に向かないし、1つずつの価格がどうしても上がってしまいます。
ですが、万年筆やその周辺のものに私たちが期待する逸品なのだと思います。

メモ書きの道具~工房楔のシャープペンシルとコンチネンタルA7メモカバー~

メモ書きの道具~工房楔のシャープペンシルとコンチネンタルA7メモカバー~
メモ書きの道具~工房楔のシャープペンシルとコンチネンタルA7メモカバー~

万年筆店をしているので、何でも万年筆で書くのですか?と聞かれることがあります。
他の方よりも万年筆を多く使っているのは当然ですが、それが不思議に感じられるようです。
本当に万年筆ばかり使っていて、字を書く用事ほとんどを万年筆で書いていますが、中にはそうはいかないこともあります。
そのひとつが複写伝票への記入です。
当店の伝票は少ないのですが、お客様からお取り寄せを承ったり、修理品をお預かりした時に書く伝票が複写式になっています。
その時は筆圧をかけなくてはならないので、仕方なくボールペンを使います。

実は個人的に万年筆がどうしても使えない場所がもうひとつあって、それは家のソファの上です。
ちょっとしたメモや、原稿の下書きなどをソファに座って楽に書いたりしていたのですが、万年筆で書きながら居眠りしてしまい、ペン先がソファに触れて大きなインクのシミを作ってしまったということが2回ありました。
それ以来、我が家ではソファの上での万年筆の使用が禁止となっています。

それからはソファでのメモ書きは鉛筆でするようになって、シャープペンシルを使うようになりました。
工房楔の0.7mmのペンシルは万年筆を使えないシーンでの愛用品となっています。
パトリオットボールペンと比べると細身に見えるけれど、握ってみると適度な太さで、とても楽に書くことができる。
私は通勤の電車の中でもよく書き物をしていますが、そういった場面でも今はこのシャープペンシルをよく使うようになっていて、下書きをシャープペンシル、清書には万年筆という使い方に落ち着いています。

そういえば、シャープペンシルの芯はなるべく値段の高いものを使った方がいいということをずっと思っています。
その時実感したのは、200円と300円の芯の違いで、100円の違いでこれほどまでに書き味が滑らかになり、紙に黒色が付きやすくなるのかと感心したことがありました。
100円均一で売られている芯と比べるときっとそれは雲泥の差だと思います。
万年筆のインクもシャープペンシルの芯のようにグレードがはっきりしていたらどんなに売りやすいだろうかと思うことはあります。
値段が高くなるほど書き味が良くなって、発色が良くなるなどの内容の違いがあればいいけれど、実際はインクの性質や色くらいで、値段の違いは瓶の違いだと思っています。
でもそういう曖昧で大らかなものの方が私は好みなのかもしれないと思っています。

話が少し反れてしまいましたが、道具はそれぞれの適正に合ったものを使うべきだと思うようになって、それが筆記具の場合はメモや下書きは、気負わずに何でも書くことができるペンシルがいい。
それに対して万年筆は清書の道具で、書いたものを定着させるには簡単に消すことができないインクで濃くはっきりと書き記す。

ペンシルと同じく、カンダミサコのA7メモカバーもメモの道具ですが、シュランケンカーフで製作してくれていたものとは別に、味の出る革ダグラスで製作していただいたコンチネンタルA7メモカバーが出来上がりました。

サラッとしたシュランケンカーフとはまた違ったネットリとした色合いと手触りの色気のあるこの手の革がとても好きで、小さなメモ帳カバーとして個人的に欲しいと思っていました。
何度も、何度も言っていることですが、メモは全ての仕事の第一歩で、メモという言葉に非常にロマンを感じ、最も大切なステーショナリーはメモ帳だと思っています。

今回もメモ書きを支える、素材感が溢れ、ロマンが感じられる二品をご紹介いたしました。

⇒A7メモカバー(Pen and message.仕様)コンチネンタル
⇒工房楔 0.7mmペンシル

ご来店予約の受付開始&カンダミサコデスクマット

ご来店予約の受付開始&カンダミサコデスクマット
ご来店予約の受付開始&カンダミサコデスクマット

当店のお客様がペンを試し書きしたり、ペン先調整を承る席にカンダミサコさんのデスクマットがあります。
5年間お客様方にお使いいただきましたので、キャメルの色は濃い茶色になり、艶もかなり出て良い風合いにエージング(経年変化)しています。
この美しいエージングは素材であるブッテーロ革の特長で、長く使うほどにその真価を発揮するものだと思っています。

どんなものでも素材が悪ければ、使っていくうちにただ汚くなってしまうけれど、良い素材は使うほどに磨かれ美しくなり、愛着が持てるものへと育ってくれる。
これは万年筆にも言えることで、万年筆の値段の違いは長く使っていく中でどうなっていくかというところが一番の違いだと思っています。

カンダミサコデスクマットは、厚いブッテーロ革を2枚重ねた下にフェルトを貼り合わせていますので、デスクマットで最も心配される「反り」もありません。
サイズはA4サイズの一回り大きなサイズになっていますので、大抵の書類はこの上で書くことができますし、大きすぎて邪魔になることもありません。

それでも机のスペースに合わせて使いたいというご要望も多く、オーダーでも承っています。
ご要望のサイズをお知らせいただきましたら、お見積りさせていただきます。

このカンダミサコデスクマットのある席で、ご来店下さったお客様にゆったりとした気分で過ごしていただくことが、当店らしさだと思っています。

ただいつもではないけれど、週末の15時頃などにお客様が集中してしまい長時間お待たせすることがあり、申し訳なく思っています。
自分がいつも行っている散髪屋さんに先客がいて息子と二人で待っている時に(最近一緒に行くことが多いですが、それは車で行けるという彼の計算で、待っている間息子はずっとジャンプを読んでいます)予約を受けてくれたらいいのにと思うので、当店でお待ち下さっているお客様に対していたたまれない気持ちでいます。

開店してちょっと経った今更言うのも何ですが、当店ではご来店予約を受け付けるようにしました。
ペン先調整でも、ペンのご購入でもご予約下さった方優先で承るようにいたします。
翌月末まででしたらご来店ご予約承りますので、ご来店日時とお名前、ご連絡先をお知らせ下さい。
メールでも電話でも結構です。(メールの場合は当店からお送りする確認メールを必ずご確認下さい)

*ご予約TEL:078-360-1933
*お見積り・ご予約E-mail:penandmessage@goo.jp
*⇒カンダミサコ・デスクマット

シンプルにコンパクトに~WRITING LAB.オリジナルペンケースピノキオ~

シンプルにコンパクトに~WRITING LAB.オリジナルペンケースピノキオ~
シンプルにコンパクトに~WRITING LAB.オリジナルペンケースピノキオ~

オリジナル商品を作る作業は、自分たちが今まで見てきたものの中の良いと思っているものの引き出しがどれくらいあるかが試される場面だと思っています。
たくさんの古いものを知っている人はアイデアも多いし、それが少ないとすぐに行き詰まってしまう。

自分たちの引き出しの中を探して、その時のものに合うアイデアを合致させる。
史料やたまにお客様がお持ちの90年代以前の古い革のペンケースはほとんどがペンにジャストサイズのコンパクトなもので、それらはきっとそのペン専用のペンケースなのだと思います。
汎用のペンケースよりもそれしか入れることのできない専用のものの方が、今見ると贅沢な気がして、使っていて楽しい気がする。
それをWRITING LAB.で企画して、シンプルにコンパクトにと、古いペンケースの考え方を現代に甦らせたものが、2本差しペンケースピノキオです。

ピノキオはペリカンM400系の万年筆にしか使うことができないペンケースです。
M400系と書いたのは、M400サイズの万年筆には多くのバリエーションが存在するからです。
当店では字幅の太いM400を手帳にも使いやすい太さに研ぎ出す「細字研ぎ出し」を始めましたが、こういったものを含めると、M400系のバリエーションはさらに増えていきますので、専用と言いながらピノキオに入れることができる万年筆は多く存在するということになります。

ピノキオに使用している革のバリエーションは、サマーオイルとコードバンです。
サマーオイル革は、牛革の中でも私たちが最も好きな革のひとつで、ネットリとした質感、濃厚な色合いの滑らかな手触りの色気のある革です。
良いものを手に入れるにはやや苦労しますが、なるべく使っていきたいと思っています。
良いものを入手に苦労する点ではコードバンも同じで、コードバンの中でも張りと艶があり、厚みもあるホーウィン社のものにこだわっています。
今まで通りベラゴの牛尾さんに製作していただき、シンプルな形だからこそ、牛尾さんの細かいステッチなど確実な仕事が光っています。

万年筆が今の形になって130年ほど、それを販売するお店はどこも、私たちがやっているようなことをしていて、ずっと繰り返されてきたことを私たちはしているだけだと思うことがあります。

きっと、自分たちがしていることもすぐに万年筆の歴史の中に埋もれてしまうのだと思うと虚しくなりますが、そういうことを繰り返すことが人間の営みなのかも知れない。でもその時輝いていることが大切なことで、活動している限り輝き続けたいと願っています。

⇒WRITING LAB.2本差しペンケース ピノキオ コードバン
⇒WRITING LAB.2本差しペンケース ピノキオ サマーオイル

アイリス色のペンレスト兼用万年筆ケース

アイリス色のペンレスト兼用万年筆ケース
アイリス色のペンレスト兼用万年筆ケース

4年前に作ったきりでその後作ることのできなかった、アイリス色のオリジナルペンレスト兼用万年筆ケースが完成しました。

素材であるシュランケンカーフには定番色とオーダー色とがあり、オーダー色は革メーカーのペリンガーの社長が来日した時にオーダーしておかないと手に入れることができません。
アイリスはそんなオーダー色のうちのひとつで、やっとカンダミサコさんが手に入れてくれて、万年筆ケースに仕立ててくれました。

ちなみにこのペンケースのカラーバリエーションにあるエッグシェルもオーダー色です。
内装のシープスエード革は、ライムグリーンとターコイズの2色で、大胆な配色かも知れませんが、よく合っていると思います。
シュランケンカーフは伸びの良い素材で、オーバーサイズのような太目の万年筆でも入れることができます。
オマスパラゴンでも入れることができると言うとそのサイズ感が分かっていただけるでしょうか。

このペンレスト兼用万年筆は当店を象徴するペンケースだと思っています。
当店は万年筆で書くことが生活の中心にある、あるいは精神的な柱にある人のライフスタイルを支える店でありたいと思っていますが、このケースはそんな人の実状に合ったもので、取り出しやすさと万年筆の保護を考えた当店の自信作です。

カンダミサコさんの作品でもう1つA7メモカバーも入荷しました。

夏は荷物をなるべく軽く、小さくしたくなりますが、いつもポケットに入れておける手帳カバーがA7メモカバーです。
A7メモカバーもペンレスト兼用万年筆ケースと同じシュランケンカーフを使用しています。
私は服装のアクセントとなる革製品はなるべく揃いになるように同じ革、同じ色で持ちたいと思うので、カンダさんにはなるべく同じ色で革製品を作ってもらっています。
A7メモカバーでもアイリスを作ってもらいました。

いろんなメモ帳を使っていると言われるけれど、私はこのA7メモノートを立って使う時は、方眼罫のものをタテ開きにして使っています。
横開きで使うと右側のページがどうしても書きにくくなる。タテ開きなら手が大きくない私でも立ったまま快適に使うことができます。

カンダミサコさんのノートカバーの特長は、内側のアオリ部分を大きくとって、筆記の補助(下敷き)にしているところです。
それで立ったままなど不安定な状態でも筆記がしやすく、万年筆を使う人の実状に合ったものだと思っています。
とても小さな地味なものだけど、こういう小さなメモ帳はどんな用途に使おうかと、ロマンを感じてしまいます。

〇関連記事
⇒2011.6.10 「ペンレスト兼用万年筆ケース3本用完成」
⇒2013.7.5 「万年筆店の思想が見えるオリジナルのペンケース」