手帳のある風景・写真集完成

手帳のある風景・写真集完成
手帳のある風景・写真集完成

総勢27名の手帳と万年筆のある風景を収めた写真集が出来上がりました。
それぞれのご自宅の書斎や机上の写真をお送りいただいたり、お持ちいただいて当店で撮影した写真を収録しています。

私が万年筆を使うきっかけになったのは、手帳を書くことがより楽しくなったからで、手帳と万年筆との組み合わせにはこだわりがあります。
そのため皆様がどんな手帳を使い、それにどんな万年筆で書かれているかにとても興味がありました。
メーカーやお店のカタログ、WEBページでも手帳と万年筆を組み合わせて撮られた写真はありますが、それらは使われていないもので、実際に使われているものの前では迫力に欠ける。
実際に使われているものでカタログのようなものを作りたいと思っていますが、それに近いものになっていると思っています。

写真集の中には当店で扱っていないものもありますが、有難いことに当店にあるものも多く、例えば正方形のオリジナルダイアリーを使って下さっている方が多かったことに、素直に喜びました。
万年筆で書くということを中心に考えた時、この正方形ダイアリーほどそれに合ったものはないと思っています。
書き味が良く、インクの収まりの良い紙の製作、書きやすい平らに開く製本をしてくれた大和出版印刷さんも、細字の万年筆に合う罫線レイアウトを企画した私たちも万年筆での使用を念頭に入れて作り続けているもので、もっと多くの方にお使いいただきたと思っています。

ダイアリーは少し季節外れになりましたが、フリーデイリーダイアリーや横罫、方眼ノート、薄型の方眼ノートrect(レクト)もこの正方形サイズにはあり、革カバーもまだありますので、使われていない方も今の季節から問題なくお使いいただけますので、ぜひお試しいただきたいと思います。

実は日付入りのウィークリーダイアリー、マンスリーダイアリーと、フリーデイリーダイアリー、横罫、方眼ノートとは使用している紙が違っていて、Liscio-1(リスシオ・ワン)という紙が使われています。
現在、グラフィーロを万年筆用紙として売り出している大和出版印刷さんの前のモデルの紙で、独特の柔らかい書き味のリスシオ紙を好んで使われている人も多くおられます。
ですがこの紙を使ったノートは、大和出版印刷さんの在庫がなくなり次第終了ということになります。

ご自宅の書斎、机上の風景を写真に収めて下さった方の中には、万年筆をたくさん保管することができるコレクターズボックスも写して下さっている方もおられ、私たちの期待通りのものを見せてくれています。
当店でもコレクターズボックスは、工房楔の永田さんが作ったものを扱っていて、現在在庫はありませんが、9月の完成を目指して製作に入っていますので、ご予約を承ります。
手帳の周辺や机上のスペースのためのものを当店ではなるべく集めたいと思っていて、こういった写真集の写真に写っているもの全てが当店で扱っているものばかりになれば、本当のカタログになると思っています。

⇒手帳の風景写真集
⇒工房楔・デスクトレイ予約ページ(工房楔・机上用品)

実用品とコレクション~ペリカンM805デモンストレーター刻印なしモデル発売~

実用品とコレクション~ペリカンM805デモンストレーター刻印なしモデル発売~
実用品とコレクション~ペリカンM805デモンストレーター刻印なしモデル発売~

ペリカンM805デモンストレーター刻印なしモデルが限定発売されました。
万年筆の定番中の定番ペリカンM800の限定品ということで注目されていて、完売は時間の問題だと思っています。

何度も言っていることですが、ペリカンM800はペンの重さを利用して、力を抜いて書くという万年筆の扱いに慣れた人にとって、これ以上書きやすい万年筆はないのではないかと思われるほど完璧なバランスを持った万年筆だと言われています。
重さも、サイズも、力を抜いて書くのにちょうどいいですが、万年筆を使い慣れていないと、そのボディは大きすぎ、重量は重過ぎるように思われ、尻軸にキャップをつけて書くことが難しく感じられます。
この万年筆をキャップをつけて書くことができるようになった時、万年筆の重さを利用して書くことができるようになったと思っていいいのではないかという、水準器のような万年筆だと言えます。

ペン先はとてもハードで頑丈にできていますが、滑らかに書くことができるので硬さを感じさせません。書いていて安心感のようなものがあります。
ペリカンのモデルナンバーは末尾に5がつくとシルバー金具モデルで、M805デモンストレーターはシルバー金具のM800ということになります。
今まで5が付くモデルも、つかないモデルも、バイカラーの共通のペン先を使っていましたが、今年から5末尾モデルにはオールロジウム仕上げの銀色のペン先になりました。
ガラスのような透明のアクリル製ボディとシルバーの金具のM805デモンストレーターは実験用具か、医療器具のように見えます。

透明のボディによってインク残量が確認しやすく、それはさらなる実用性の向上につながっています。
M800は定番品に緑縞、青島、黒軸、M805に青縞、黒軸、発売日が浅く安定供給できていない黒縞などのカラーバリエーションがあり、これらを字幅違いや、入れるインクの色違いで揃えると壮観だろうなと思います。
同じ形のものをいくつも欲しくなって、揃えたくなるのは男性に多い集め方だと私は思っていて、私も同じものがいくつも欲しい方です。
M800の年代違いの書き味の違うものを揃えている方がおられて、その揃え方に大変共感しました。

今回発売されたペリカンM805デモンストレーター刻印なしモデルに対して、刻印ありモデルというものも12月に発売を予定しています。

内部機構が見える透明ボディの表面に、内部パーツ名を刻印したもので、こちらはデモンストレーターの名前通り、吸入メカニズムを説明するための仕様で、標本的な趣きを持ったものになります。
刻印ありはコレクション向き、刻印なしは実用品と言うと、そのつもりではない人に申し訳ないですが、ほぼ同じ万年筆の刻印あるなしで、性格がガラリと変わることが面白いと思っています。

どちらも世界限定900本です。

⇒Pelikan 限定生産品M805デモンストレーター 刻印なしモデル

旅に携える万年筆

旅に携える万年筆
旅に携える万年筆

旅というほどではないけれど、プラチナ萬年筆の工場見学のために東京に1泊2日で出掛けます。(注:これを書いたのは5月11日です)

その時にカメラにどのレンズをつけていくかも大事なことですが、もっと大事なのはどの万年筆を持っていくか、ということに気付きました。
プラチナ萬年筆の工場に行くので、プラチナのペンということになり、ブライヤーとプラチナプラチナを持って行きます。
以前ある国産万年筆メーカーに行った時に、国が違うからいいだろうと思って、アウロラオプティマを胸に差して行ったことがありましたが、「吉宗さんはアウロラを愛用されているのですね。ウチのペンもぜひ愛用して下さい」ととてもソフトに言われたことがあって、「しまった」と思ったことがありました。

それは当然のことで、日本の万年筆メーカーも今や海外のものをお手本にして万年筆を作っているわけではなく、日本の万年筆の良さを前面に押し出して互角に勝負しているわけなので、誇りを持ってやっている人なら気になるところだろうと、反省しました。
この辺りのことは、お客様方の方が気が回って私のような失敗をすることはないのかもしれません。

以前旅行者用の万年筆として、モンブランやオマスなどの吸入式を中心に作っているメーカーがカートリッジ式の万年筆を出したことがあります。
いずれも旅行用のような扱いで、やはり旅にはボトルインクを持ち歩く心配の要らないカートリッジ式が便利だと言えます。
カートリッジで万年筆を使うことは、インクにこだわる人ほど少なく、コンバーターでボトルインクを吸入させて使う人が多いと思いますが、私は国産の万年筆は余程のことがない限りカートリッジインクで使っています。
ただインク交換が面倒臭いというわけではなく、日本の万年筆はメーカー純正インクで使う方が上手くいくと信じているからです。

コンバーターで他社のインクを入れて使うより、カートリッジの純正インクを使う方が快適に書くことができるということを今まで何度か経験してきました。
性能が良く、個体によるバラつきが少ないと言われている日本のメーカーなのに不思議な気がしますが、日本の万年筆メーカー各社がそれだけギリギリの線を狙った、攻めの万年筆作りをしているからだと私は思っています。
万年筆の理想は、インク出は少なめに、でも途切れず書き味良く書くことができることだと思っていますが、これを高い次元でバランスを取ろうとすると、インクが違う性質のものになると崩れてしまいます。
この点、海外のメーカーは余裕を持たせているのか、他社のインクでもストレスなく使うことができたりしますので、純正のものに限らず自由に使うことができると思っています。

でも日本メーカーのカートリッジはだいたい1cc以上は入っていますので、色を選ぶ自由度が少ないということ以外問題はないので、旅に携える万年筆としての資質は十分だと思います。旅に携える万年筆のひとつとして、国産の万年筆も考えてみたいと思います。

以前、ヨーロッパ旅行に行った時、ずっとプラチナブライヤーを使っていました。
プラチナのカートリッジのブルーブラックの、どんな紙でもにじみが少なく、同じように書けるところもが大変便利に思いましたし、飛行機の中でインクが漏れることもありませんでした。
パチンと閉めることができる勘合式のキャップも使いやすい。
そして何よりも、予備のカートリッジが数本あればいいという手軽さは大変有り難く感じました。

コンバーターでのインク棚釣りによるインク途切れなどの相談を受けるのは、国産の万年筆に関してが多いので、少しつまらなく感じるかもしれませんが、純正のカートリッジインクを入れた国産の万年筆を旅に携える万年筆の候補として、お考えいただけたらと思います。

⇒プラチナ萬年筆 ブライヤー
⇒カンダミサコ 小長持ち(カートリッジケース)

大台に乗ったカランダッシュ ~100周年記念商品のご案内~

大台に乗ったカランダッシュ ~100周年記念商品のご案内~
大台に乗ったカランダッシュ ~100周年記念商品のご案内~

カランダッシュはとても実用的で所有欲をくすぐるボールペン、エクリドールの存在などから、私にとってとても馴染のある筆記具メーカーでした。

しかし、ある時多くの物作りメーカーがそのトレンドに乗ったように、ブランド化というイメージ転換をして、何となく距離を感じるようになっていました。
しかし2月にカランダッシュの勉強会に参加したことで、物作りへの情熱は変わっておらず、良い筆記具を作ろうとしているメーカーであり続けていることを知り、改めて親近感のようなものを得て帰ってきました。

筆記具メーカーの勉強会というのは以前はよく開催されていましたが、最近では珍しく、定休日である水曜日と重なったこともあり、カランダッシュの意気込みに共感して参加しました。
カランダッシュは今年100周年を迎え、それを記念する限定品をいくつか発売しています。

真鍮ボディに銀張りを施し、パラジュームコートで仕上げたボディのエクリドールに、定番のシェブロン柄をアレンジして彫刻したものがあります。
エクリドールはカランダッシュの代表的なボールペンであり、全てのボールペンの中でも、定番中の定番と言えるもので、カランダッシュと言えば、鉛筆と同じ六角形のこのボールペンを思い浮かべる人は多いと思います。
細身の六角形のボディは自然に扱いやすいものだと多くの方から評価されています。

最近インクの粘度が低い、書き味が滑らかなイージーフロー芯が多く使われるようになりましたが、カランダッシュのボールペン芯は、この芯だと滑りすぎるという人たちに熱烈に支持されています。カランダッシュのボールペン芯であるゴリアット芯が非常に滑らかなのは、筆記具の業界にいる私たちにとっては常識ともなっています。

インク充填容量多く、A4の用紙で600枚、距離で8kmも書くことができ、これは他社の1.5倍にも相当します。
849コレクションの100周年モデルも、同じゴリアット芯を使っていて、カランダッシュの色鉛筆のデザインをアルミのボディにアレンジしてあしらった、とてもかわいらしいデザインだと思っています。
エクリドールよりも軽めのボディは、女性の方でも持ちやすいものであると思います。

定規あるいは目盛好きの私が100周年コレクションの中で最も気に入っているのは、2mm芯ホルダーのフィックスペンシルです。

目盛のどこが良いのか上手く説明できないけれど、整然と並んでいて、これ以上美しい模様はないと思っています。
ボディは意外なほど軽く、プレスリリースではボディ素材にアルミが使われているということになっています。
いずれにしても大変凝った玄人好みな商品だと思います。

フィックスペンシルは、太芯のペンシルにとって最もオーソドックスな機構であるドロップ式になっていますが、これはカランダッシュが世界で最初に作ったものでした。
微妙に芯の出す長さを調整することができるし、故障の心配も少ない優れた機構だと思います。
ドロップ式の芯ホルダーの定番機能、ノックバーの中に芯研器も仕込まれています。フィックスペンシルには、黒芯の他に水溶性のカラー芯も付属していて、水彩色鉛筆としても使うことができます。

100周年を記念する限定品の中に万年筆がなかったのは残念でしたが、カランダッシュらしいこだわったものが出来上がったと思います。

⇒カランダッシュTOPへ

ペン先調整について~ペン先を細く削る

ペン先調整について~ペン先を細く削る
ペン先調整について~ペン先を細く削る

当店では既に使われている万年筆のペン先調整も承っていて、その需要の多さに当初戸惑うほどでした。

お持込のペン先調整は来店していただき対面での調整のみ、と現在もホームページにもご案内していますが、あまりの問い合わせの多さに、現在はお送りいただいても承るようになりました。

実際に書かれているところを見てその方の書き方にジャストフィットさせなくても、標準的な調整を施したものなら大抵問題は解決されるようです。
よりピッタリ合わせたいと思っておられる方には、筆記中の写真をお送りいただいたりしています。

私は、ずっと書き込んでその手にピッタリと合った書き癖がついて、そのために線が太くなってしまった万年筆のペン先はとても貴重で、尊いものだと思ってきました。
太くなってしまったペン先は、なるべくそのまま使って、細く書く必要があれば細く書くことができる万年筆を買うべきだと言い続けてきました。
しかし、それは少し偏った見解で、好みは人それぞれ違うようです。
大きく筆記面が出来たペン先のヌルヌルした書き味を好きな人は多いけれど、そうでない人もいる。
そうでない人にとって、使用によってできた筆記面は消耗以外の何ものでもなく、ペン先を研ぎ直して欲しいという要望を持って当然でした。

細かい文字を書く手帳用の万年筆は、国産の細字くらいが最も適していると思っています。でも手帳にも国産以外の様々なものを使いたい。
特に、細くて軽いボディのペリカンM400や、適度な太さと重みのあるボディで硬めのペン先のペリカンM800などは、ペン先が太く、インク出が多いこと以外は手帳への筆記に向いた万年筆だと思いますので、それらも使いたいと思う。

私はシステム手帳のペンホルダーにピッタリ収まるファーバーカステルクラシックを手帳に使いますが、不満だったのは手帳に書くには、太くて、インク出が多いということでした。
長年の使用で書き味も良くなっていたので、長い間躊躇していましたが、ある時思い切って細く削ってみました。
手帳の細かな枠内に収まるし、時間をかけてお客様の万年筆を調整するようにしましたので、それほど書き味が劣化したというほどではない、むしろ細く削ったファーバーカステルで手帳に書くことが楽しくて仕方がない。
今までとくらべものにならないくらい、手帳にきっちりとたくさんの文字を書くようになりました。

万年筆も道具なので、やはり用途に合っていなければ意味がない。
まず用途に合っていることが大事で、ヌルヌルとした書き味を持つ筆記面があるかどうかというのは、二の次のことでした。
今まで自分の偏った考えをお客様方に押し付けていたような気がして、申し訳なく思いました。
ペン先を細く研ぎ直して欲しい方がおられましたら、「ペン先字幅変更料金」になりますが、喜んでお引き受けいたします。