工房楔・イベント後の新作紹介

工房楔・イベント後の新作紹介
工房楔・イベント後の新作紹介

毎年当店の開店記念の日に合わせて、工房楔の永田さんが開催してくれるイベントが終わりました。
毎回感じることですが、イベントが終わるとお祭りの後のような寂しい気分になってしまいます。それだけこの店に永田さんがいること、たくさんのお客様が来てくださることを楽しんでいました。

永田さんがひた向きな情熱を傾ける木の杢というのは、その材を材木屋さんで購入すれば洩れなく入っているものではなく、入っているであろう材にたまたま様々な形で入っているものです。はずれを引くと中には全く入っていなかったり、割れがあったりしますので、それを博打に近いものだと私などは思いますが、だからこそ永田さんは木に惹かれるのかもしれません。
そんなリスクを恐れずに勇気を持って、これはと思った材に持ち金の全てをつぎ込むことができるところも永田さんが一流の木工家として存在し続けている秘訣のひとつだと思っています。

ハンドメイドにはハンドメイドの、大量生産品には大量生産品のそれぞれの方法論があって、言うまでもなく両者は全く正反対の方向を向いている。
あるモデルをカタログに載せて、それを世界中で同じイメージ戦略に乗せて販売しようと思った場合、バラつきがあってはいけない。
たくさんの職人さんが作業に当たるので、ある人ができて、ある人にはできなくては困る。
どうしても難易度の低い作り方、素材の扱い、安定供給できる素材の選択になってしまいます。
永田さんは自分で材木屋さんに足を運び、これで何か作りたいという素材だけを仕入れて、木目などを見ながら、それが一番美しく出る削り方をしていく。
ひとつひとつのバラつきは当然出て、ひとつの塊から取れる数も少なくなる。
ひとつひとつを最も良くしたいと職人が思った末に出来上がったもの。
永田作品にはそんな魅力が溢れています。
様々なモノを見て、手にしてきた私たちがモノを突き詰めると、永田さんの作る木製品のようなものにたどり着くのは、そんな理由があるのかもしれません。

前置きが長くなってしまいましたが、工房楔の万年筆ケース コンプロットに新作が出て、先日のイベントでお披露目されました。

コンプロット4ロングは携帯することを念頭に作られた、コンプロット4ミニを長くしたものです。
コンプロット4ミニはペリカンM800が入る一番長いものの代表で、モンブラン146は年代によって入るものと入らないものがあります。
その制約から解放したケース コンプロット4ロングは、中屋万年筆ロング、セーラー島桑、楔クローズドエンドなど、レギュラーサイズよりも大きなオーバーサイズの万年筆を4本収めることができます。

永田さんが作られたものの中から、大きな材が手に入りにくく、今後もう作ることができないと言われているチューリップウッドと見事な孔雀杢を見せる黒柿を仕入れました。
木目が美しくつややかなチューリップウッドは使い込むとさらに艶が出てきます。
黒柿はさらに模様が際立ってくるのが特長です。

万年筆を入れて持ち運ぶためのモノだと考えるととても贅沢なものですが、永田さんが提案する万年筆を収納する、木の塊から削り出した銘木のケースが、大量生産品の方法論と真逆の存在であって、魅力があることを日常使いするとその良さ、満足感がよく分かります。

⇒コンプロット4ロング

サマになる

サマになる
サマになる

9月23日で当店は開業から丸6年が経ち7年目に入ります。
39歳で始めた仕事で、その時の自分を今から思うと考えの足りない若造だったと思いますが、例えば今から5年後に今の45歳の自分を振り返って、あの頃は本当に未熟だったと言えるようになっていたい。
少しずつでも成長していきたいとは、いつも思っています。

でも今から6年前の自分やこの店の状態などを振り返るとよく今まで続いてくることができたと思います。
それほど今から思うと、当時の自分も店も貧弱でした。
貧弱だというのは、品数が少ないということと少し違っていて、夢を追い求めて万年筆店を始めましたという気持ちだけで、お客様にこの商品を買ってもらいたいというメッセージがなかったということで、お客様に助けられたという以外の何ものでもありません。

さすがに6年経って何となく形のようなものができて、サマになったこともできてきたように思います。
全てがオリジナルとは言えないけれど、他所ではなかなか買うことができない腕の良い職人さんたちが作る革製品や、銘木にこだわった工房楔の木製品を一番多く揃えられるようになったのも、初めから意図していたわけではなく、たまたまの出会いがそのように導いてくれたと思うと、本当に恵まれていたと思うのです。

ノートやダイアリーのサイズもいろいろ試行錯誤してきました。
分度器ドットコムさん、大和出版印刷さんとともに企画したオリジナル正方形サイズのノート/ダイアリーは、独特の罫線レイアウトや万年筆で書きやすいリスシオ1紙の存在により、多くの人に愛用していただいてもらっています。

WRITING LAB.のノート/ダイアリーのサイズをB6と定めたのは、B6サイズが一番モノとして魅力のあるサイズだと思ったのと、開いて持っているところがとても美しく見えるサイズだと思ったからで、WRITING LAB.らしいサイズの決め方だと思っています。
B6サイズ用ノート/ダイアリーカバーテクチャーシリーズには、3種類の革があり、それらの革の違い質感で選んでいただくように黒のみで作ってみました。

ブライドルレザーは白いロウが表面に塗られていて、2か月も使い込むとロウが革に染み込んで艶が出る。もともと馬具に使われるような丈夫な素材です。
ベルーガはソファなどの家具によく使われる革です。手触りが良く、柔らかいのに強靭な性質で、いつまでもきれいな状態で使うことができるでしょう。
ナッパCBはイタリアの名タンナーバタラッシィがなめした革で、使い込んでいくと艶が出てくるエージングする革です。
規格のB6サイズに合わせていますので、B6サイズのノートやダイアリーなどのその選択はかなりあるだろうと思います。

更にA7サイズのメモ用ジョッターも付属しています。
WRITING LAB.のサマーオイルメモノートの紙を半分に2つ折りして使うこともできますし、A4サイズを8つ折りにしてA7になりますので、ミスコピーの裏をより活用することができます。

このカバーにはB6サイズの表紙幅を少し短くしたWRITING LAB.オリジナルノートも3冊付属しています。
横罫に2本のマージンを入れた独特の罫線をノートは、メインのノート、ダイアリーとともにカバーに差し込んで、サブノートとしてお使いいただけるようにしています。
カバーの製作は当店の近くにアトリエを構える革職人ベラゴの牛尾龍氏が製作していて、以前よりWRITING LAB.として牛尾氏と共同作業をしたいと思っていましたので、やっと実現することができました。

6周年を前にまた出会いを形にすることができました。

⇒B6サイズ用ノート/ダイアリーカバーテクチャーシリーズ

協力し合い、回数を重ねる~オリジナルダイアリー2014完成と工房楔イベントのご案内~

協力し合い、回数を重ねる~オリジナルダイアリー2014完成と工房楔イベントのご案内~
協力し合い、回数を重ねる~オリジナルダイアリー2014完成と工房楔イベントのご案内~

分度器ドットコムさんと大和出版印刷さんとの共同企画、「オリジナルリスシオ・ワンダイアリー」の2014年版が出来上がりました。
分度器ドットコムの谷本さんと大和出版印刷の多田さんと、当時分度器ドットコムの店があった夙川の焼肉屋さんでダイアリーについて打ち合わせしたことをとても懐かしく思い出します。
それはとても楽しいものだったけれど、それぞれが絶対に譲れないポイントがあって、それを擦り合わせて、少しずつ形にしていきました。

今までにたくさんのダイアリーを見てきて、個人的にそれを分類したり体系的に把握したりしていたので、それが大いに役に立ちました。
谷本さんもたくさんのダイアリーを見てそれについて考えてきて、温めていたアイデアがいくつもありました。
このダイアリーを作った当初の自分の言葉「仕事のことも、プライベートも何でも書ける、書くことを楽しむことができるダイアリーにしたい」というものでしたが、このオリジナルリスシオ1ダイアリーはその言葉通りのものになっていると思っています。

このダイアリーも少しずつ進化していて、今回から新たに見開き一年のブロック型の年間計画表を追加しました。
一年をトータルで考えてそれぞれの月にテーマを持たせ、1年を1つのストーリーになるように考えることで、メリハリのある充実した1年にできるのではないか、それは私たちのような店だけでなく、どんな仕事にも言えることなのではないかと思いました。
それぞれの月にテーマを持たせて素材を書き込んでいくフォーマットとして、便利に使うことができると思います。

3社でのこの作業で、小さな店同士が協力して商品を開発する楽しさを知って、それが今も私たちの仕事のやり方の中心になっています。

工房楔の永田さんともずっと協力して仕事してきて、一緒に成長してくることができたと思っています。5年前に出会って、万年筆しか売るものを持っていなかった当店に木の杢を嗜むという大人の楽しみを与えてくれた。
工房楔の永田さんとの出会いは、私自身に新たな世界を見せてくれたし、当店に万年筆以外の柱を与えてくれました。

当店の開店記念の日に毎年開催して下さっている工房楔のイベント「楔が奏でる木の文具」展を今年も開催できることは、ダイアリーを作ることができたのと同じようにとても嬉しく思っています。

「楔が奏でる木の文具」展は9月21日(土)~23日(月祝)開催いたします。
おそらく一つの店だけではどれも継続してくることができなかったことばかりで、協力し合える仲間たちがいたからどれも少しずつ形を変えて、成長させて作り上げてくることができました。

当店創業6周年を前に感慨深く思っています。

⇒Liscio-1(リスシオ・ワン)オリジナルダイアリー:Pen and message.オリジナル商品トップへ

仕事のイメージ

仕事のイメージ
仕事のイメージ

2、30代の頃、ペン先をひたすらルーペを覗いて、思った通りの書き味にしようと肩がコチコチになるまで悪戦苦闘して調整していました。
でも今は、まずペン先を見ると「こういう風にする」というイメージがすぐに出来て、それに合わせるように調整するようになりました。
言い換えると、イメージしてから取り組む心の余裕が出てきました。

若い頃のひた向きさというのはとても素晴らしいけれど、ペン先の調整をするということに関しては、今の自分の方がはるかに多くのことを考えている。
例えば調整するイリジュウムの形を3次元の立体的な形で考えたり、その万年筆を使う人の今の一瞬だけでない、これからの数年間・数十年間のその人とその万年筆との時間まで考慮して調整するようになりました。

それは自分自身が歳をとって、それだけの時間万年筆を使ってきて気付いたこともありますし、たくさんの事例を見てきたということもあります。
そして何より、一時期とらわれてこだわった方法などを自分自身で打ち消して、捨て去ってきたことも良かったのではないかと思っています。

そのように考えると私のような仕事はある程度、それなりの齢にならないとモノにならないと思います。
45歳まで仕事をしてきて思ったのは、20代、30代はひたすら修行して積み重ねたものを40代で何とか形にしていく。そしてそれは50代でやっと完成する、ということ。50代以上のことはあくまでも想像ですが・・・。

40代ではお客様も年上の方がまだ多く、こう書けばもっと書きやすくなるという意見を飲み込んで、いかにその人の書き方に合わせた調整をするかに腐心しているけれど、50代、60代になって、お客様も年下の人が多くなってきたら、調整に関する表現の仕方も変わると思っているし、それが自分の年齢に応じた、自分のできることで世の中の役に立つということだと思っています。

万年筆の調整は言葉に似ていると思うことがあります。
言葉は多ければ良いというものではなく、相手の話をちゃんと聞こうと思ったら必要最低限の、しかも要点を突いたものでないといけない。
言葉を多く発すれば発するほど中身のない余計なことを話してしまい、それを訂正、補足するためにさらに多くの言葉が必要になってきます。

調整も手数(てかず)は少なければ少ないほどいい。
調整を途中で止めるということではなく、最も手数少なく効果的にできる調整を最初にイメージして、その形を実現するようにする。
それが一番難しいことだけど、それが最も良い調整だと今は思っています。