木の良さに甘えない ~クローズドエンド楔 万年筆~

木の良さに甘えない ~クローズドエンド楔 万年筆~
木の良さに甘えない ~クローズドエンド楔 万年筆~

工房楔 永田さんの新作万年筆、「クローズドエンド楔」が9月の当店のイベントでデビューしてから、2ヶ月が経ちましたが、お客様の反応を見ていると、非常に手応えを感じます。

それは今までの永田さんの作品のファンだったお客様だけでなく、ずっと万年筆を使ってきた人たちにも受け入れられて、愛用されていることや、永田さんのブログや当店でその実物を見た人が興味を示し始めていることもその要因です。

今回の工房楔の新作の特長は、木の良さを最大限に生かすことのできるボディデザイン、構造を持ちながらも、それだけに甘えていない、使い勝手の良さを持っているというところだと思っています。

この万年筆の軸が仮にプラスチックで出来ていても、その魅力は損なわれるものではないと思うくらいです。
他の万年筆に似たものがなく、すっきりした小細工のないシルエットを作り出すのに、たくさんの試作品、製品を作って試行錯誤を繰り返して、贅肉を削ぎ落として作り上げられた、若い木工家の情熱によって作り上げられた王道のデザインを持つ万年筆です。

ボディ、キャップ内部、リング、首軸などの金具はボディデザインを制約してしまいますので、永田さんは今まで使っていた既製の金具を使わずに、オリジナルの金具を作ってくれる腕の良い金属加工職人を捜し当ました。
そして万年筆の部品(新型エクステンダーの部品も)を作ってもらえるようにして、理想としたオリジナルデザインを実現しました。

万年筆において、大切なペン先、ペン芯の書くメカニズムもかなりグレードの高い、シュミット社のものを使用しています。
シュミットの18金ペン先は最近の万年筆では少なくなった非常に柔らかい書き味で、その安定感とともに、立派なボディに見合ったものになっています。
銘木を刳り抜いて、オイルで仕上げただけの木の手触り、匂い、木目を存分に感じることができ、使い込むごとに、磨き込むごとに美しい艶を増していくボディと同様に、首軸にも木を使っています。

首軸は指が一番触れる部分ですので、首軸が木というのはこのペンの魅力をさらに引き立てる仕様だと思います。

首軸が木であることによって、インクを吸入する時にとても気を遣いますが、ペリカンのカートリッジを使うか、コンバーターで直接インクを吸入してから首軸に差し込むようにすると、木の首軸をインクで汚すことはありません。
どうしても気になる方には、クロムメッキの金属製の首軸もご用意しております。

永田さんが、その10年近いキャリアの中で、多くのお客様とのディスカッションで作り上げた自信作、クローズドエンド楔。私も自信を持ってお勧めします。

⇒工房楔(せつ)「クローズドエンド楔」

リスシオダイアリーカバー完成2~ダブルの誘惑~

リスシオダイアリーカバー完成2~ダブルの誘惑~
リスシオダイアリーカバー完成2~ダブルの誘惑~

当店のオリジナルダイアリーのデイリーダイアリーは、日付の入っていないフリーダイアリーなのですぐに使い始めることができました。

9月初めから使い始め、使っているうちにホームページやブログ、雑記からの原稿なども書く、何でも書くことのできるものになっていきました。
今後のスケジュールやタスクなどを整理しながら、その日あったことや読んだ本、聞いた話から影響を受けたことなど、書きたい言葉が出てきますので、ダイアリーに全てを書くというのは私にはとても合っているようです。

そうやって使い出したデイリーダイアリーは2ヶ月程でいっぱいになってしまい、早くも2冊目に突入してしまいました。

これだけ早いペースで2冊目に突入してしまうと、2冊目だけでなく、1冊目も持ち歩いて、見返さなければいけないことがよくありますのでダブルのダイアリーカバーが必要だと気付きました。

今までダブルのダイアリーカバーは、マンスリー、ウィークリー(あるいはデイリー)、そして方眼ノートというように仕事で使う全てのノートを1冊に収めるためのものとして考えていました。
私のように全てを1冊にまとめて使う者にはシングルが良いと思っていましたので、意外な発見でした。

私はダブルのダイアリーカバーに、現在使っているデイリーダイアリーと前のデイリーダイアリー、そしてマンスリーダイアリーを組み合わせて使っています。
結構厚くなるダブルのダイアリーカバーを、通勤に使っているル・ボナーの名作鞄パパスに入れるために、弁当箱を今のと容量が変わらない薄型のものに変えたほどでした。
そのおかげでめでたく全ての必要なものを鞄に収めながら、ダブルのダイアリーカバーも持ち歩くことができるようになりました。
他の持ち物のサイズを変えてでも、ダブルのダイアリーカバーを持ち歩きたいという誘惑はとても強いものでした。

当店のオリジナルダイアリーはデイリー、ウィークリー、マンスリーの3種類ですが、大和出版印刷から方眼ノートが現在発売されています。
さらに今後、横罫・変わり罫なども発売されますので、多くのバリエーションの中からご自分のスタイルにあったものを選ぶことができるようになります。

当店と分度器ドットコム、大和出版印刷、ル・ボナーのダイアリーを中心とした共同企画のプロジェクトはさらに展開していきます。

⇒オリジナルダイアリーカバーダブル
⇒オリジナルリスシオダイアリー

オリジナルダイアリーカバー完成1 ~シングルタイプ~

オリジナルダイアリーカバー完成1 ~シングルタイプ~
オリジナルダイアリーカバー完成1 ~シングルタイプ~

オリジナルリスシオワンダイアリーが出来上がった日から完成が待ち望まれていたカバーが完成しました。

分度器ドットコム、大和出版印刷、当店がアイデアを結集して作った究極のフォーマットのダイアリーの機能と、組み合わせの自由度を実感するためにはなくてはならないものでしたので、早くご紹介したいと思っていました。

私たちが販売する革製品の多くはル・ボナーさんのもので、当然今回のダイアリーカバーもル・ボナーさんに携わっていただいています。
今までたくさん革製品を見てきましたが、私はル・ボナーさんが作る海外の革を使った、シンプルでおしゃれな革製品がとても好きです。
仕様などは私たちの意向を松本さんが解釈して反映させたものになっていますが、ル・ボナーさんがその製品でよく使っている素材、クリスペルカーフ、シュランケンカーフ、ブッテーロが使われていて、ル・ボナーさんらしいものになっています。

今回はシュランケンカーフを使用したシングルタイプをご紹介いたします。

オリジナルダイアリーカバーにはシングルとダブルを用意いたしますが、ほとんどの方は一般的なダイアリーの使い方に向いたシングルタイプを選択されると思います。

オリジナルカバーで使うことのできるノートの現在のバリエーションは、薄型のマンスリーダイアリー、ウィークリーダイアリー、日付なしのデイリーダイアリー、方眼ノートです。
シングルタイプの場合、薄型のマンスリーダイアリーとその他のノートを組み合わせて収納することができ、マンスリーとウィークリーを組み合わせるとスケジュール帳になりますし、マンスリーとデイリーならスケジュールを管理しながら日記を書くことができるものになります。
マンスリーと方眼ノートも活用範囲の広い組み合わせだと思います。

多くの選択肢の中から、ご自分のスタイルに合ったものを厳選して組み合わせる楽しみがシングルタイプにはあります。

使われている素材、シュランケンカーフは革を収縮させたシュリンクレザーで、傷や色落ちに強い、非常に使いやすい素材で、ル・ボナーさんも女性向けのバックにシュランケンレザーを使っています。

カラーバリエーションが豊富で、明るい色合いがとてもきれいです。
ペンホルダーやベルトなどを備えていないとてもシンプルなデザインのカバーですが、表紙を硬めに仕上げ、開きやすさと記入しやすさなどの基本性能を追及したル・ボナー松本氏の力作になっています。

インクが表現する世界観~セーラー季節限定インク色織々冬~

インクが表現する世界観~セーラー季節限定インク色織々冬~
インクが表現する世界観~セーラー季節限定インク色織々冬~

インクの色について考えるとき、自分の中の弱さみたいなものに気付きます。
色も性質も完璧なものに出会った、これからずっとこのインクだけを使おうと、使っている全ての万年筆をその色に入れ替えたりしますが、お客様が万年筆のボディとの絶妙なコーディネートで使っているのを見たり、新しい色のインクが発売されたのを知ったりすると、心が揺らいで、ついつい使ったりしてしまいます。

新しいインクの色は自分がいつも書いているノートに変化を持たせてくれますし、万年筆が新しくなったような嬉しい気分になりますので、ついつい新しい色のインクに手を出して、自分なりに確立しようとしているものが崩壊してしまいます。
今までそんなことを何度も繰り返してきましたが、全く懲りません。

特に最近はパイロットが色彩雫のシリーズで立て続けに新色を発売したり、セーラーが仕掛け人になっている各お店のオリジナルインクなど、私が万年筆の仕事に携わり始めた頃に比べると信じられないくらいの選択肢があります。
これだけたくさんの種類のインクがあると、似た色のインクが必ずあって、微妙な違いはあったとしても、全くの新色というものは不可能だと思っています。
色で差別化しにくくなっている、万年筆のインクという商品にとって、(ボトルの形に差別化の余地はありますが)今や大切なポイントはその表現する世界観なのかもしれません。

もちろんその色自体も大切ですが、お客様はメーカーがその色や名前で表現しようとしているインクの世界観に惹かれ、その世界観が自分の価値観と合致し、共感した時にそれを自分のスタイルの確立に取り入れるのだと言えば大げさでしょうか。
たくさんの色のインクを作ってきたセーラーがそのことに気付いて、今までのカラーインクを廃番にして、季節限定インクとしたことはその狙いがあったと考えています。

公式の発表はありませんが、セーラーが今回の冬から発売した季節限定インク色織々でも独特の世界観が表現されていて、そのキーワードは郷愁ではないかと思っています。
そのインクの色、色名は、スマートで洗練されたものではないかもしれませんが、私たち日本人の心の中にある心温まる田舎をイメージさせてくれます。
常盤松(ときわまつ)、時雨(しぐれ)、雪明(ゆきあかり)、囲炉裏(いろり)。凍てつくくらいの厳しい寒さの外を日本家屋の中から見る景色が目に浮かぶようです。そんな心の風景がセーラーの季節限定インク冬の世界観だと思います。

セーラーはもしかしたら、インクの色だけでなく、その世界観でも私たちの心の根幹に触れているのかもしれません。

セーラー 色織々ボトルインク